第222話中世ヨーロッパの音楽

 高校生の頃だろうか。もともとクラシック音楽が好きだったので、ふとした拍子に15世紀くらいの中世ヨーロッパの音楽を聴くようになった。ヒリヤードアンサンブルという男性だけのコーラスグループのものを中心に聞いていた。当時は図書館でCDを借りてきてテープにダヴィングして聞いていた。もうそれこそ擦り切れるまで聞いていた。透明感のあるカウンターテナーが響き渡り、私を異次元の世界にいざなってくれた。

 そして今日、久しぶりにヒリヤードアンサンブルの歌声を聞いている。今日は一日体を動かしての用事があったので、疲れをいやそうと古いCDを引っ張り出して聞いている。古楽はいつ聞いても私を別世界へといざなってくれる。心地いい。ひたすらに心地いい。

 人生の悲哀と、人間の滑稽さ、醜悪さ、美しさ。そういった様々な人間模様を歌にして神への賛歌として歌い上げる。私は無宗教だが、ヨーロッパ人が神への祈りとして歌に込めた思いに感銘を受ける。

 現代人が忘れがちな畏敬の念。それを呼び起こす歌声である。

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