第187話右とか左とか

 政治を語る時に右派か左派かということがとても重要であるかの如く語られる。私はそんなものはくだらないと思ってしまう。自分の生活をより良くしてくれる政治というものを語る時、それは自分の生活、ひいては自分の環境をより良くするために政治があるのであって、最初に右派、左派ありきではない。

 平和で、清潔で、豊かな生活を営むことができれば、それで政治は成功しているといえよう。要は主義主張が最初にあるのではない。よい生活を送ることができればそれで政治は成功なのである。

 国防に関することを論じる時、わが国では必ず皆感情的になる。それは私たちの生活に欠かせない事柄なので、最も感情的になってはならないことである。

 軍事力がものをいう世界。これが世界の一般常識である。しかし、軍事力だのみの国家はその維持費に莫大な金銭を使い、長続きしない。

 軍事力とは地政学的に最適であると思われる力を装備していれば十分なのであって過剰な軍事力は国家を滅ぼす。

 我が国の軍事力は十分であるとはとても言えない。しかし、これ以上軍事力を強めると諸外国から警戒され、逆に損失のほうが大きい。

 現状の財力と軍事力を最大限に生かすのが外交である。アメリカと中国が覇権争いをしている現状、漁夫の利を得ようとするとしっぺ返しを食らうだろう。それほどに現在の外交は微妙かつ難しい。

 この複雑怪奇な現代の外交戦を勝ち抜くには単なる右派、左派の論理ではとても生き残れない。現実を直視し、時には敵とも和解し、時には味方に忠告することも必要になってくる。

 政治家にはとくに現実を直視してほしい。右派、左派の論争はもうやめてもいい時ではないだろうか。

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