第152話新しいこと

 最近、10年前頃出版された本を読んだ。内容が古く感じられ、とても読んでいられなくなった。ここ数年の時代の変動にその本は全くおいていかれてしまっていた。情報技術の進展により世界を認識するすべは果てしなく多様化した。しかし、世界をより深く認識出来ているかと言えば、そうでもない。嘘やデマや誤報は日常茶飯事となり、情報に鈍感になってしまっている気がする。

 このような状態はますます酷くなるだろう。そして我々はもはや何を信じてよいのか分からなくなりそうだ。

 そんな中、何をよりどころとして生きていくか。それは簡単なことではあるが、自分の身の回りのことからコツコツと正確な認識を積み上げていくしかない。自分の生活が悲観的なものであれば、世界全てが悲観的に見え、楽観的であれば他に対する認識も明るいものとなる。

 身の回りの新しいことに目を向け、注意深く観察することで、今という時代が分かってくるだろう。身の丈にあった観察は人をより賢明にする。

 すぐに古くなる情報にしがみつくのではなく、普段の生活から自然に受ける情報に耳を傾けつつも自分をしっかりともって自分で情報の真価を判断する。そうすることで、バランスある世界観を形作ることができるだろう。

 

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