第140話イラっとくる人

 なんでだろう。この人と話しているとイラっとする。そんなことがある。とくに相手が自分に対して嫌なことを言っているわけではない。だが、その話し方、仕草、視線、いちいちイライラすることがある。その人から離れてその感情を反芻してみる。けれどもいまいち原因が分からない。そこでしばらく考えてみた。すると少しだが、分かったような気になった。

 それは相手が自分に対して興味がないのに話していることに気づいたのだ。彼は自分の興味のあることをしゃべり続けるが、別にそれは私でなくとも相手がつとまるほどの話である。例えば、彼の話を聞きながらこちらがもういいだろうと打ち切るとする。すると彼はすかさず別の人めがけて飛んでいき、熱心に語る。そう、彼にとっては自分の話を聞いてくれれば誰でもいいのである。

 そこで疲れることを避けるために、ふむふむと聞いているふりをして受け流すと、彼が飽きてきて、他へいってしまう。

 こういう人を相手にするときは、見えない壁を分厚く張り巡らし、ダメージを最小限にするしかないようだ。

 それにしても自分にしか興味のない人と話すのはなんでこんなにも苦痛なのだろう。共感するということの大切さを痛感した次第である。

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