第8話歩くこと

 休日によく歩く。おかげでこの夏は腕も首回りも真っ黒だ。

テクテクテクテク、何も考えずにただ歩く。いつもの景色を眺めながら。

足元をアリも歩いている。たまに踏みそうになるので、必死によけながらの散歩だ。

 彼らの動きには無駄がない。目的地まで注意深く早足で移動する。もしかしたら人間よりも効率のよい生き方をしているのかもしれない。

 そこでふと思った。アリも人間も生きるという行為に注目して考えると、それぞれの生き方を最適化しての行動をしているので、そこに優劣の差はないということだ。そう考えると、足元のアリに敬意を表したくなった。

 忙しく立ち回るアリに一礼すると、私はまた再び歩き出すのだった。

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