第28話 落雷が落ちる

「望! 私と女狐! どっちが好きなの! はっきり答えてもらおうじゃないの!」

 いつものように教室で恋の嵐が吹き荒れている。まず希の雷が優柔不断の望に落ちる。

「もちろんのぞ・・・・・・ヒイイイイイー!?」

 もちろん幼馴染だし希に決まっているだろうと言おうとした時に望が、ある者を目にした。

「きれいな黒バラには棘がある!」

 希の背後で黒いバラの花束を手に持って、裏切り者には死をと言わんばかりの雷鳴が聞こえてきそうなイバラの雷シーンだった。

「こ、殺される!? 俺はどちらを選んでも、確実に、もう片一方に殺される!?」

 望は、毎日神経を擦り減らしていた。

「望くん、可哀そう。二股なんてやめればいいのに。」

「お兄ちゃんの名誉のために言っておきますが、お兄ちゃんは二股はかけていません。ただモテているだけです。」

 美杉とミナモは、男と女の修羅場には巻き込まれたくないので近づかないようにしている。

「なぜだ!? なぜ、あいつばかりモテる!?」

「興味ない。学生の本分は勉強だ。」

 邪なクロムは、ウスイに同意を求めたが却下される。

「許せん! 許さんぞ! あいつに悪夢の世界に落としてやる!」

 クロムは、また悪いことをするつもりだった。

「うるさいー!!!!!!!」

 教室に先生の叫び声がコダマする。

「ギョ!?」

 先生の伊集院苺の雷のような怒鳴り声を聞いて、望たち生徒は時が止まったように静止する。

「授業中は静かにしなさい!」

 もちろん今時の学級崩壊である。

「ゴロゴロゴロー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 その時、空から雷が高層タワーの学校のビルに落雷した。

「キャア!? 怖い!?」

「雷が落ちた!? 直撃!?」

「大丈夫だよ。避雷針がついているから落雷があっても大丈夫だ。」

「ふう、良かった。」

 望たちは、雷が落ちても大丈夫だと安心する。

「おい、避雷針とは、こいつのことか?」

 クロムが避雷針をビルから取り外して手に持っていた。

「バカ野郎!? 何やってんだ!?」

「雷が落ちるぞ!? みんな感電死だ!?」

 教室は一種のパニック状態になった。

「どうする!? どうすればいい!? 俺の夢魔法で何とかできるのか!?」

 望は自身の魔法で落雷から皆を守れるか自問自答する。

「私たちに任せてください! クラスメイトの雷花クレア!」

「雷乃シデン! 雷の魔法使いです!」

 現れたのは雷の魔法使いだった。

「まずコンセントに手を当てて、次に雷が、ゴロゴロゴロっとビルを直撃、それを私たちが吸い取る。」

「充電完了です!」

 雷の魔法使いは落雷の雷を吸収することができる。

「すごい! パチパチパチ!」

「どうも、どうも。」

 一発芸のような雷の魔法使いはクラスの人気者である。

「ギャアー!? 誰か助けて!?」

 もちろん、いたずらをしたクロムはクラスメイトの雷を受けてボコボコになった。

 つづく。

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