第28話模擬戦5

 

強風波動ラスターバースト】レベル6

 ランク A

 威力 風属性魔力+300↑

 効能 魔力に高風圧を加え、威力とスピードを数段階跳ね上げ、前へ進む毎に風圧は倍増する。



 青い光芒のエネルギーが一直線に放射され、円形の爆風を纏う波動が迫る。

 風圧の勢い良いは増していくばかり。

 ガロロは上半身を辛うじて起こすが、豪速球の竜巻の球体は既に目の前にいた。

 逃げる術はない。ならば、相殺するしかない。

 ありたっけの馬鹿力で全身から、炎が放つ。


【炎の属性強化】レベル5

 ランク C

威力 火属性魔力+60

 効能 火属性の魔力をアップする。


【炎犬の加護】レベル1を獲得しました。

 ランク B

威力  攻撃力+300 火属性魔力+300 水魔力耐性+100 風魔力耐性+100

効能  攻撃力、火属性魔力、水魔力耐性をアップする。


「負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁ!! 火炎放射インフェルス!!!!」


「馬鹿な……そんな力どこに……」


 闘牛の形をした炎が風の波動を寸前で呑み込む。

 巨大な焔の柱となり、上空へ轟々と燃え上がり、強風波動は火炎放射によって相殺された。

 煌めく炎の柱を瞳に浮かべながら安堵をするカバーニ。

 そして、マリカの炎の衝撃を食らい、ライフゲージがゼロになった。


        *

 

 一方、クロテアはライフも少なく、圧倒的不利。

 ユウラはライフは充分あり、有利、余裕の表情だ。


「ずいぶん防御ばっかりで拍子抜けでやんすね。これじゃ、負けますよ?」


「私が負けてもゼルフォード君なら指輪を取ってくれるわ」


「ずいぶんあの少年を買ってるでやんすね」


          *


 アリアは水龍で守られていて、指輪を取ることは難しい状況。

 俺はどう攻撃をするか考えるため間合いを取る。


「私から指輪を奪えると思うのですか?」


「無駄口を叩いている暇はない」


 俺は左手に火花のような雷を纏らせ、走る。


「バチバチバチバチバチバチ!!!」


雷神ボルトゴット】レベルMAX

 ランク A

威力  雷属性魔力+900  

     土魔力耐性+900

 効能 雷を自由自在に操る攻撃。全身、部分的にの手足に電気を纏う。


 アリアの表情が曇る、目の瞬きが多くなる。


「あなたはどれだけかね属性の魔力を有しているというのですか……信じられない」


「……」


 一瞬で雷の閃光が、アリアの背後に回り、雷鳴が十字に轟く。


「ゴォォォォォォ!!!」


 アリアは目を開いたまま、汗が出て、固まり、硬直した。

 あまりの速さに反応が出来なかった。


【魔力圧縮】レベルMAX

 レベル S

 効能 一時的または長期的に魔力を圧縮する。

 解放時に圧縮以前の魔力のまま放つことができる。


 俺は雷を圧縮し、指先をアリアの後頭部すれすれの所に留める


「水は雷にとって天敵。このまま戦えば、雷の餌食」


「ここまで……力の差を見せつけられるとは……負けました」


 アリアのポケットから指輪が出ていき、浮遊して、俺の手元にきた。

 


「試合終了です! Aクラスの勝利!」


 と審判の声。


 突然の敗北に崩れ落ちるユウラとマリカ。

 ガロロは満面の笑みを見せた。

 一安心といった表情のクロテア。


「勝利だ」


「ふぅ」

 

              *


 魔術闘技場の観客席では。

 どよめきが起きていた。


「おおおお!!!! 」


「さすがAクラスだな」


        ・


 皆、形態変化を解き、ゲームから離脱しようとするが、一向にできない。

何が起こっているんだ。

 その時、火山地帯が揺れ、至る所でマグマが活発に動く。


「何かがおかしい。みんな気つけろ」


 見上げると大きな岩がだんだんと大きくなっていく。


「なんだあれ」


「岩だね。あれ」


「早く逃げろ!」


「私魔力を失って動けないよ。死にたくないよ! 死にたくないよ!」


 泣き叫ぶアリア。

 俺は走り出し、彼女を庇うような状態で、岩から回避した。


「間一髪だった……」


「あなた……そんなに私を抱きしめないで」


「あっ、悪い」


 アリアを俺は地面に押し倒すような状態だった。

 すぐ、離れようにも、次々に降ってくる岩で、抱き抱える状態で回避しなければならない。


「死にたくないです。死にたくないです。死にたくないです!!」


「ちょっと……頼むから黙っててくれ」


 一旦、落ちついた後。


「怖いよ」


「もう大丈夫みたいだぞ」


「あっ、ユウラちゃんだ!!」


 駆けつけるガロロ、クロテア、ユウラ、マリカ。

 皆心配の表情をしている。


「アリア! 怪我はないでやんすか?」


「怖かったよ」


 それにしても、もう既に、勝敗決着したなのに、先生達は何やってる。


「何かゲームの中でバグが起こったんじゃない」


「自らログアウトできないわね」


 ホログラムを指で動かし、探すが溜め息つくマリカ。


「どうやらログアウトの選択肢はないようね」


「アリアは魔力遣い過ぎで、くたくたでやんすよ」


 まずいな。

 ゲームの中で死亡なんてことは絶対に駄目だ。

 突然、メールが届く。

 こんな時に誰だ?


「あ。俺だ」


「誰ですか?」


「分からねーか。シルバラード=イルガだよ」


「イルガ先生!」


「積もる話はあとだ。そっちに、全員分の緊急ログアウトIDを送る」


「はい」


 そして5分後。

 全員、ゲームからログアウトすることができた。

 結局、ログアウトできない原因は分からず、ゲーム世界の一時的なバグとされた。


 

 


 

 

 

 



 

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