第24話洗脳

最初の冒険者たちが入った後も、ある程度の時間をおいて、だんだんと冒険者が集まり始めていた。


「おや?なぜこのような場所に村が?」


「君たちもダンジョン目当ての冒険者かい?」


「そうですが、なぜこのような場所に村が?

そもそもダンジョンはどこですか?」


いきなり、出てきた村長に驚きながらも、冒険者は質問に答えていった。


「そうですか。ダンジョンに用があるのですね?

我々は、このダンジョンに助けられて来た村です。

定期的に浅い層でダンジョンの報酬をとっていき、そして、それを定期的に近くの町に売って、稼ぎを得ているのです。」


「なるほど、ダンジョンとの共生をしていたのですか。

それでは、あなたたちにとっては、ダンジョンを攻略されるのはまずいのですか?」


「いえ、大丈夫です。

いつかそのような未来はやってくるだろうと思って、我々も覚悟をしていましたから。」


「そうですか。それでは、ダンジョンの入り口に案内していただければ…」


前にもあったような会話を繰り返しながら、村長は、また冒険者をダンジョンの中に入れていった。


しかし、今回の冒険者は、ゼアークの目に留まった。


「こ、これは…」


村長の目によって、その冒険者の目を見たのだが、それは、ゼアークからすれば、完璧なまでにいい状態だった。


「全ステータスが、高いのに、耐性系のステータスだけが少ない…」


これの何がいいのかというと、これはダンジョンにとっては格好のカモなのだ。


それは、数あるダンジョンの中で、戦闘がメインではないダンジョンも存在している。


しかし、ゼアークのダンジョンに関しては、戦闘面がメインなのだが、一応、ゼアークが不備がないようにするために、戦闘面以外に関しても、できるだけ補えるようにしている。


つまり…


『全員に緊急報告。

ただいま入った冒険者を逃げ道のない部屋に誘導し、その後、精神魔法をかけるのだ!』


さっきの冒険者に関しては、ソロであり、耐性も弱い。


つまり、精神魔法などにかかりやすいのだ。


その後、ある程度のモンスターを犠牲にしてしまったが、それでも、密室の部屋まで誘導することに成功した。


「こ、これは…モンスターハウスというものなのか?」


ダンジョンの中には、モンスターが大量に出てくる部屋がある。


しかし、中身はもっとひどい内容だった。


「うっ!なんだこれは…」


男の視界はいきなり歪み初め、とうとう意識までもうろうとしてきた。


「それじゃあ、よろしく。」


その言葉を聞いた男が視線を上げると、そこには、豪華な装備をしている男と、全身をローブに包んでいる小さな性別も分からないものがいた。


「本当に自我を保ったままでいいのですか?」


「ああ、こいつには、あることをしてもらいたいからな。」


「わかりました。」


そして、男は意識を失った。


男が気が付くと、そこには町が広がっていた。


「やっと起きましたか。」


「こ、ここは…」


「あなたは、ゼアーク様の為に人間の国で、ある程度権力を持つのです。」


「権力を持つ?」


男は、この女性がダンジョン関係者だということが分かったが、なぜか敵対心がわいてこない。


それどころか、上司のような感じがして、逆らってはいけないという衝動に駆られている。


「ええ、そうですね…まぁ、急にいなくなっては、国にとってまずいくらいの力を持ってもらいたい。」


「しかし、私にそんな力があるとは…」


「大丈夫です。後で自分のステータスを見せてあげますが、我々が強化を施しておきましたので。

それでは、向かいましょう。」


そして男は、何もわからないまま、謎の女に運ばれて行くのだった。

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