針路と進路




世の中を動かしている人たちのオモワクもクロマクも僕は知らない

また 知ったところで僕はどうするだろう


誰かのオモワクで誰かを牛耳り

誰かのクロマクが誰かを黙らせ

誰かが誰かわからないままその影に怯え

値段が上がったり下がったり

歓んだり悲しんだり

怒ったり安堵する


そこには 民族があって

そこには 門地があって

そこには 宗教があって

そこには 支配と隷属があって

そこには 過去の屈辱と未来への復讐がある


それらは検証困難な事実を覆うイメージの袋で包まれ

誰かがそっと耳打ちしてくれるけれど

声高でおしゃべりするとササレルから

今日も素知らぬ顔で今を憂い

明日に怯え

明後日のことは考えないようにしているのかもしれない


だけど

僕は 今夜のおかずの値段を受け入れよう

ガソリンはカードで支払うし

勧誘には丁寧に断って

誰かの謝罪と辞任はニュースで見て

針路無き改革は話半分に聞くさ



だけど 僕の進路は見えている


はっきり見えている



それでいい はずなんだ





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