第6話 災いの亡国
夜いつもの部屋で、わたしは眠りにつく。
それから暫くして……。
コンコンコン
ノックの音で目が覚めたわたしは、自分が真っ白な部屋のベットで寝ていることに気がつく。
壁時計は午前3時を指している。
それから目の前に見えるドアが少しずつ開いていく。
そこには、いつもの男といつもの女がいた。
二人とも、いつもの白い服。
わたしも真っ白な裾の長いネグリジェを着ている。
男と女は言う。
「「そのまま聞いてください」」
男が話す。
「狂乱の王の圧政が、それから10年ほども続いた時、遂に国民の中から立ち上がるもの達が現れ、とうとう、狂乱の王は崩れ去る城と共に炎の中に消えました」
女が続けて話す。
「しかし、その時、もう国は見る影もなく荒れ果ててしまっており、残された民達は次々と国を捨てて行ってしまいました。あんなに栄えた美しかった国は、いつしか災いの亡国と呼ばれる幽鬼たちの住処になってしまったのです」
「「それから、何十年、何百年という時が災いの亡国の上を通り過ぎていきました」」
二人はいつものように、お辞儀をして、開けた時と同じ様に、ゆっくり、静かにドアを閉めた。
けれど、今日は夢は覚めずに、
わたしは、白い部屋で白いネグリジェを着たままベットの中にいた。
壁時計は午前3時のまま、時を止めている。
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