第26話 *メダカと日曜日*
「せっかく水槽があるからさ メダカを飼わない?」
いいよ と返事をしながら
アクアショップへ行くのだろうと準備をしていると
15歳の君が「いい場所があるんだ」と
しまいこんでいた魚とり網を持ちだした
16歳の兄も誘って 歩いての移動
嫌々だったハズの兄も
『秘密の場所』が近づくと
ウキウキ度が上がっていく
自宅からそう離れていない たんぼのあぜ道
草をかきわけると その下に小さな小川が流れてた
水底が見える浅い川には 小さな石が転がり
その透明の水の中を 小さな魚が泳いでいく
15歳の君と 16歳の兄
2人して真剣に 網を振り回し 魚をすくう
私よりはるかに高くなった背丈
私の悩みにも応えてくれるようになった今日
ずいぶん大人になったものだと
感慨深くもなっていたけれど
網を振り回す君たちを見ていると
あの頃の 幼い君たちの影が見えてくる
あの頃 毎日持ち帰ってきた
メダカやザリガニ ドンコにタニシ
トンボやチョウに カブトムシ
こうやって 2人で掴まえていたんだね
水槽でヒレを動かし 懸命に泳ぐたくさんのメダカたち
そのメダカを見つめて 満足気に笑う君たちに
ちょっとだけ幸せを感じた なんにもない日曜日
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