【GM用】シナリオ

【オープニングフェイズ】

・シーン1:それは悪夢のようで PC④(覚醒前のため登場判定なし)

あなたには1年前からよく見る夢がある。廃墟になった街、襲い来る怪物たち。昔からの幼馴染、PC③、PC②、康介を護ろうとするPC①。そのPC①を……

シーンをカットする。



・シーン2:怪物という名の PC③(覚醒前のため登場判定なし)

PC④、PC②、康介の前に立ちはだかり、皆を護ろうとしているPC①。その目線の先には見たこともない化け物が……。それは、黒い機械のような化け物だった。

シーンをカットする。



・シーン3:叫びは空しく PC②(覚醒前のため登場判定なし)

皆の前に立ちはだかって化け物から、あなた達を護ろうとしているPC①にあなたは無謀だと叫んだ。それでも彼は(彼女は)引かなくて……あなたは止められなかった。

シーンをカットする。



・シーン4:あの悲劇をもう1度 PC①(覚醒前のため登場判定なし)

あなたは、荒れ果てた街に立っていた。周囲には康介の死体……、PC②の死体……、PC③の死体……、PC④の死体……あなたは化け物と対峙していた。そして声を聞いた。

声?:「あなたには、力がある。みんなを護れる力が。それは、あなただけの力、いつかこの光景が本物になる日がくる。その時皆を護れるのはあなただけ。」

あなたの中に光が満ちる気がした。

シーンをカットする。



【ミドルフェイズ】

・シーン5:山脇康介 PC③(覚醒前のため登場判定なし)

PC全員に登場を求める。PC達は登校の最中である。その場にいるのは、PC達と幼馴染の山脇康介と高校からの友人である須藤凪斗、それと通りすがりのサラリーマンの7人である。

各々が列になって歩いていると、突然康介が走り出しサラリーマンにタックルをかました。

康介:「おまえ!PC③(PC②~④のうち女性PCを代入する)を盗撮してただろ!」

男性はたまたまPC③の後ろにあった広告を撮影しようと携帯電話を肩の高さまで上げただけである。

PCが止めるまで、康介はサラリーマンに暴力をふるい続ける。

康介:「俺が、皆を、護る、ん、だ。」

途切れ途切れにそう呟きながら拳を振るう康介の姿は、あなた達には馴染みの姿になっていた。あなた達がおかしな夢を見た去年の夏、その次の新学期には康介は変わってしまっていた。

康介:「いつかとんでもないことが起こる。」

康介:「その時皆を護れるのは俺だけだ。」

康介:「これは、俺の運命なんだ!」

そう口癖のように繰り返すようになって、彼はあなた達に接触する全てを敵視するようになっていく。通行人が通報したのだろう、康介はやってきた警察官に連れていかれてしまった。これもいつもの光景だった。サラリーマンは救急車で運ばれていった。

凪斗:「なぁなぁ、お前ら。俺が言えた玉じゃないけどさ、なんで康介みたいなのと付き合ってんの?」

凪斗:「幼馴染ってのは分かるけどさぁ。アイツちょっと変だよ。」

凪斗:「このままアイツと付き合っていたら、心が病むぞ!病んじゃうぞー!」

あなた達が凪斗と話をしていると、突然の大きな縦揺れに襲われる。それは、あなた達の知識の範囲では地震としか形容できなかったが、その揺れはその場の全員を宙に浮かせ、そして叩きつけてしまった。

*全員に1D10のダメージ。

ここで、あなた達は街の空気が変わってしまっていることに気づく。ワーディングが張られ、そしてPC達は覚醒してしまっている。Eロイス悪意の伝染が発動。霧谷など外部NPCの登場を禁止する。

*全員の浸食率を2D10上昇させる(覚醒によるショック)。

あなた達は自分がさっきの揺れで負った傷が消えていっていることに気づく。

*強制的に全員にリザレクトを適用する。

凪斗:「な……なんだよこれ……」

凪斗が自分の手を見ながらつぶやく。彼の腕は異形化して、身体に蒼電を纏っていた。

凪斗:「お、お前たちは知っていたのか?」

凪斗:「康介が変な事言っていても一緒にいたのは、アイツが言ってることが本当だって知ってたからなのかよ?」

凪斗:「オイ!誰か、何か、コタエロッテ!!」

凪斗の声はそこからは変成器を通したようなノイズに変わり、聴き取れなくなってしまった。


戦闘に入る。

戦闘配置:PCは全員1エンゲージ。5メートルを置いて須藤凪斗が単体でエンゲージ。

戦闘勝利条件:須藤凪斗の戦闘不能。


戦闘に勝利すると、凪斗は動かなくなってしまう。ヒュー、ヒューと息をしているが、じきにそれも止まるだろう。

シーンをカットする。



・シーン6:メサイアコンプレックス PC②

先程のシーンの続きである。登場判定は改めて行う。

あなた達の背後から「オーイ」という声が聞こえる。声の主は康介だ。どうしてそんなに快活な声が出せるのか、どこかこの状況にワクワクしている、そう感じさせる声であった。

康介:「おい!あの揺れ!言っただろ、いつかとんでもないことが起こるって。起こったんだよそれが!俺が生きてきた意味が報われる日が!」

はしゃいでいる。山脇康介ははしゃいでいる。足元に横たわるのが、友達だとも気づかずに……

康介:「見てくれよ!」

康介は右手を突き出すと銃を撃つ動作をする。すると光弾が彼の腕から放たれる。

康介:「警察が突然暴れだして、狼みたいになった時には驚いたぜ、でもこれで撃退したんだ。」

彼の眼はランランと輝いていた。

康介と話をすることもできる。特に会話がないならば情報収集シーンに移る。



【情報収集フェイズ】

あなた達がいた場所は街の端にあたる。街を東西に貫く高架の西の端だ。高架の東の端までを直径とした見えないバリアのようなものが街を覆い、内外の行き来を全て遮断している。電波の類も例外ではない。



・a学校

あなた達の通う学校。人気はなく、所々荒らされている。

白兵:8

戦いの心得があるあなたはここで白兵戦があったことに気づく。多くの人間が殺されたのだろう。また大きな何かが暴れたこともわかる。



・a2学校(大きな何か)

知覚:9

あなたは破壊されていない、学校の監視カメラを見つけることができる。そこには黒に赤いラインの入ったロボットのような獣が人々を襲っていくシーンが映っていた。まるで何かを探す亡霊(ゲシュペンスト)のように。



・a3学校(ゲシュペンスト)

知識レネゲイド:10

レネゲイドの力によってこの世に留まっている存在。強烈な復讐の念がソレをここに繋ぎとめている。



【イベントシーン】

・シーン8:白い亡霊 PC④

情報a3を明らかにすると、あなた達の前にゲシュペンストが現れる。康介はこの時シーンに強制登場する。

康介:「お前は下がってろ!俺が皆を護るんだ!」

康介:「それが俺の運命なんだよ!!」

ゲシュペンストは解析不能な言語を発し、[ナーブジャック]を使用する。

康介:「護る?俺は……護れなかった、俺は……護れなかったものを護る!」

康介は[ヴィークルモーフィング]を宣言し、[モーフィングロボ]に搭乗する。ロボの見た目はゲシュペンストを白くし青いラインを入れたようなものだ。康介はそのまま、ゲシュペンストと飛び去ってしまう。後にはマウスのような小型の機械が落ちていた。『翻訳機』を手に入れる。



・b病院

街にある総合病院。避難所に指定されているがここまでたどり着けた人は少ないようだ。

情報学問:8

山脇康介のカルテを見つけることができる。数年前に脊髄移植の手術を受けている。ドナーの名前は明かされていない。この時、ドナーになった人物から「あなたはみんなの力で生かされている。だから、もしもの時に皆を護るのはあなた。」という伝言を受けていた。



・b2病院(ドナー)

情報裏社会:12

山脇康介のドナーは須藤千尋。須藤凪斗の母親であった。一年前、須藤凪斗に骨髄移植が必要な病気が見つかり、適合者は須藤千尋であった。しかし、日本では骨髄移植は2回までしか認められていない。彼女は1度移植に失敗していたので、康介への提供が最後であった。彼女は失意のまま亡くなった。凪斗はこのことを知っていたが、表向きには康介の友達でありつづけた。



・b3病院(須藤凪斗)

凪斗の血液を持っている事&知識医学:8

PC①の脊髄液が凪斗の脊髄移植に使えることが分かる。凪斗本人もオーヴァードになってしまった現状では、かなり強引な手段でも移植を行える。具体的には、凪斗の身体にPC①が1点以上のダメージを与えればよい。



・c通学路

凪斗との戦闘の爪痕が残る。凪斗にまだ息はある。特に調べられるところがなさそうだ。凪斗の血液を採取できる。



・cE通学路

イベントシーン8:白い亡霊を通過していた場合、トリガーシーンに移行する。



【トリガーシーン】

・シーン10:飛来 PC②

凪斗に近づこうとすると、空からゲシュペンストとモーフィングロボに搭乗した康介が飛来する。彼らの言葉は分からない、戦闘中に聞き取るしかないようだ。クライマックスフェイズに移行する。




【クライマックスフェイズ】

・シーン11:メシア PC①

飛来したゲシュペンストと康介のマシンは意味の分からないノイズ音を発している。明らかに意思疎通は行いたいようだが、日本語などの共通の言語を話せないようである。

一通りメッセージの送信を終わらせると彼らは、PC達に対して急降下してくる。


強烈なレネゲイド反応体の接近に伴い衝動判定を行う。

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。


戦闘配置は全PCが1エンゲージとなりその5m前方にゲシュペンストと山脇康介が別エンゲージで存在している。須藤凪斗は山脇康介にエンゲージしている。凪斗のHPは1である。

戦闘勝利条件はゲシュペンストと山脇康介の戦意の喪失または消滅である。

ゲシュペンストは須藤凪斗が死亡または脊髄移植をされると存在できなくなり消滅する。また、山脇康介が死亡した場合も存在意義を保てず消滅する。これは、ゲシュペンストの本質が凪斗の抑圧された康介への妬み、負の感情であるためである。

そのため、Eロイス不滅の妄執の効果でゲシュペンストは何度倒してもHP1で即座に復活する。須藤凪斗、または山脇康介が死亡した場合に限りEロイス不滅の妄執の効果は解除され、ゲシュペンストは残りHPに関わらず消滅する。

山脇康介は、今度こそ仲間を護るという強い意志を持っている。須藤凪斗に対する攻撃には必ずカバーリングする。ゲシュペンストの洗脳によって動いているため、ゲシュペンストが消滅すると戦意を失う。


戦闘勝利条件が満たされた所で、バックトラックを行う。

2回目のイニシアチブプロセスから、ゲシュペンストと康介の発言を『翻訳機』で聞くことができる。

1.「翻訳を開始いたしマス。」

2.ゲシュペンスト「山脇康介は許されざる者。」

3.康介「俺が今度は、絶対に護るから。」

4.ゲシュペンスト「お前に何ができる?俺が誰かも知らないだろう?」

5.康介「知っている。いや、思い出した。俺に皆を護れと言ってくれたのはお前の母さんだった。」

6.ゲシュペンスト「だったら話が早い。お前のせいで友人が死ぬなら、それを避けるために俺に協力しろ。」

7.康介「何をすればいいんだ?」

8.ゲシュペンスト「PC①を殺せ。その血肉を須藤凪斗に浴びせるんだ。」

9.康介「……できない。俺は仲間を護りたい。凪斗を護りたい。でも、PC①も大事な仲間なんだよ!!」

10.ゲシュペンスト「ハッ、自分が主人公だと勘違いした哀れなボーイ。拾った命、せめて派手に散らせ。」

翻訳機「通信は以上です。」




【エンディングフェイズ】

・シーン12:共に歩む日常 PC①

PC①の攻撃によって、須藤凪斗に1点以上のダメージを与えた場合このエンディングとなる。

凪斗:「ぐっ…うぅ」

ゲシュペンストは消滅し、凪斗は目を覚ます。彼はここまでのことを何も覚えていないようだ。不思議な結界、ワーディングが解けていく。君たちの携帯端末には知らない番号(UGNやFH)から多くの着信が来ていることだろう。

康介が生存している場合は、「俺は何もできなかった」といじけているだろう。彼の行動に何かを見出したなら、声をかけてあげて欲しい。


基礎経験点……最良のEND 10点

追加経験点……康介の生存 5点



・シーン13:変わり始めた日常 PC①

PC①以外の攻撃によって、須藤凪斗に1点以上のダメージを与えた場合このエンディングとなる。

凪斗の死亡によって、ゲシュペンストも消滅した。不思議な結界、ワーディングが解けていく。君たちの携帯端末には知らない番号(UGNやFH)から多くの着信が来ていることだろう。

康介が生存していた場合は、「護れなかった……」とつぶやきどこかへとフラフラと去っていくだろう。呼び止める機会は1度しかない。


基礎経験点……事件の解決 5点

追加経験点……康介の生存 5点




・シーン14:欠けてしまった日常 PC①

康介が死亡した場合このエンディングとなる。

康介がいなくなったため、凪斗の負の感情の対象がいなくなり、ゲシュペンストは消滅した。不思議な結界、ワーディングが解けていく。君たちの携帯端末には知らない番号(UGNやFH)から多くの着信が来ていることだろう。

しかし、あなた達は今日2人の友人を失った。


基礎経験点……事件の解決 5点

追加経験点……なし

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