第18話 夜想曲(ノクターン)

独りには慣れっこだというのに

無償に寂しくなる夜がある


誰かに会いたいわけじゃない

誰かとしゃべりたいわけじゃない

特定の誰かが浮かぶわけでもない


ただ 温かいぬくもりと

聞えそうで聞こえない音を感じたいだけ



独りには慣れっこだというのに

無償に泣きたい夜がある


独りだというのに

声を出さず 嗚咽さえ我慢して

ひっそりと泣く


泣いたって解決しないのは分かっているけど

心の中のカタマリを

涙で流せるってことだけは学んだから



独りには慣れっこだというのに

かつての日々を振り返ってしまう夜がある


ただただ過去へ遡り

あの頃の自分を懐かしみ

あの頃は良かった なんて後悔


過去と現在(いま)とを比べたところで

幸せを測ることなど出来るわけもないのに

かつての自分の方が幸せだったという 嫉妬



独りでも強くありたいと願うけれど


夜は心を弱くする



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