第13話 泣き顔(200文字)

ぼくは、君の泣き顔が好きだ。


マスカラが取れて黒い涙が流れていても、

君の目がパンダ目になっているとしても、

君の泣き顔を可愛いと思う。


睫の間からこぼれる雫一粒さえ愛しい。


君が泣いている間は、

至近距離から君のことをじっと見つめていられるし、

慰めるという口実で、

君の震える肩を抱き寄せることも出来る。


「大丈夫。気にすることなんてないさ」


ぼくは、ほかの男のことで泣く君を見つめるために、

心にもない気休めを言う。

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