第77話 快感、再び

 帰りは、トナカイさんの配慮で、ルセランドまでワープさせてくれた。


 まず、ギルドに森のボスを討伐したと報告を済ませる。


「またL・Oですか? L・Oって災害レベルですよ。二体も現れるなんて……」


 ネネコさんが、ボクたちに再三確認を取った。だが、ボクたちがL・Oを倒したのは事実である。


「どれくらい、危険なんですか?」

「ギルドじゅうのパーティを総動員しても、太刀打ちできないです。お城の兵隊を総動員するレベルですね。戦争が起きます」


 確かに。L・Oのレベルは五〇だった。しかも戦闘慣れしている気配があったと思う。


「先に家へ帰って、植え直す」


「では、後日ポーション売り場で落ち合おう」



 エィハスたちパーティとは、ここで一旦解散となる。



 ポージュース試作の前に、琥珀花を城の庭に植えた。まず、量産体制を作る。



「ダイキ、またマナを放出させるから」

 指示を受けて、ボクはチサちゃんの身体に腕を回した。


「また、あの感覚が襲ってくる?」

「今度はもっと大きな波が来る」


 準備が整うと、チサちゃんが植えた琥珀花に手をかざす。

 チサちゃんの手が、光を放つ。



 ゾクゾクと、ボクの身体から抗いようもない快感が押し寄せてきた。全身を撫でられているような気分になり、切羽詰まった感が極まってくる。



「うっ!」

 興奮がピークに達し、一瞬だけ意識が飛んだ。


 ボクのマナが、琥珀花に流れ込んでいるのが分かる。


「はあああ……」

 あまりの衝撃に耐えきれない。ボクは無意識に、チサちゃんを強く抱きしめてしまう。全身がケイレンし、ため息が漏れた。

 クセになるのを堪え、ボクは頭を切り替える。今は、琥珀花の育成に全力を注がねば。


 快感が、収まってきた。

「チ、サちゃん、平気?」

 ボクは、チサちゃんに声をかける。


「ダイキ」

 うっとりした声で、チサちゃんがボクの首にしがみつく。目はトロンと虚ろになり、女性の妖艶さを醸し出していた。

 チサちゃんも、マナの放出によって興奮が頂点に達してしまうらしい。


「おっ、おっ?」


 ボクの目の前で、琥珀花が次々と育っていった。マナを少し流し込んだだけなのに。


「この琥珀花はレプリカ。それでも味は保障できるって」

「トナカイさんを信じよう。チサちゃん」


 ボクとチサちゃんで、花粉を採取した。

 魔法で絞り出し、数滴の蜜ができあがる。




 後日、ゼーゼマンのポーション売り場で、試作品を作ってみた。


 蜜とオレンジを混ぜて、ポーションで薄める。とろみが段々となくなっていく。完成したのは、濃い味のオレンジジュースだ。森で手に入れた蜜により、ポーションの効果もある。

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