第46話 ポンコツ召喚

(あ、あんたマジでそれで今後行くつもり?能力どうした?)


「はいっ!!きゅーちゃん!と姉妹と一緒にしました!お揃いですーふふっ」


(神様の力だけで十分じゃないの?)


「それでポンコツ馬鹿になったんですけど……お揃いがいいんです、みーちゃんとも一緒ですよ?クッ」


(てめぇー!今馬鹿にしたなっ!何でだよ!よくあったの!?お父様のところに!)


「見習いは直ぐにオーケー出してくれましたけど、先輩は……どうなんでしょうね?」


(さ、差別じゃん!何で見習いは直ぐにオーケーなの?)


「えっと、見習いだから地上に降りると世界が解りやすくていい、との事。」


(自称見習いでイケる!)


「お父様を騙せたらいいですね?」


(勝ち誇った顔すんな!普通顔!)


「ぎー!!なっ、何度も言われた屈辱!酷い!酷いー!」


(うるせー!文句言うな!見習い風情がっ)


「見習いだからなれたんですぅ!みーちゃんとお揃いになれたんですぅ!」


(ぎゃー!!おとうまーー!!)





「ふっ、流石きゅーちゃんを模範してみましたが、チョロい。」


 その前にお洒落しようかな?その方がふ……普通も少しはマトモになれるハズ。





「いらっしゃいませ、ご用が有りましたらお呼びください。」


「あ!あの、あのですね、私に似合う服を見繕って欲しいのです!」


「ああ、はい、真っ白な衣装がお好きなんですか?」


「全然!そんな事ないです!全然!」


「はっはい!了解しましたー!」


 

「此方なんかどうでしょう?いま流行りなんですよ、色使いも綺麗で人気なんです。」


 おー!可愛い花柄のワンピース!ど、どうかな試着しよう!


 ……これ似合ってるのかな、服に着られてる感じが……流行りって普通に似合うの!?違う!あれは適当!流行りの服持たせればいいとか思ってるんですね!


「ああ、はいとてもお似合いです!」


 こんな所で使うのもアレですが!心の声を聞きましょう!本音ですか!


((うわ、服に着られてるとか、普通顔カバー仕切れてないわ、流行りの服は食い付きがいいからまぁ、いいか?))


 でしょうねっ!!すいませんね!普通の普通で!中の中ですね!


「流行りより、私の、普通の、顔に?似合う服が!欲しいんです!」


「はひっ!!」


 結局店員さんの選んだ服は普通の普通の服でした、ええ、いいんですよ……


 お父様から頂いた支度金でお支払、今は少しお金があるけれど、人間は働かなくては食べていけません!きゅーちゃんの飼い犬生活が羨ましいですが!後悔はなしっ!


 いざ行かん!私の愛し子の元へ!




 「ブシッ」


 うお、悪寒とくしゃみが……何か嫌な予感するの気のせい?


「あれ、まさかきゅーちゃん風邪?病院行こうか?」 フルフル、ちゃうねん。


「本当に?具合悪かったら言ってね?怒られるの私なんだからっ!」 

 

 うっせーな、マドロンさんよぉ!膝の皿粉々にしてやろうか!


「やーっ!お皿狙ってる!助けて!!」


「店長が悪いです」


「そんなぁ……車椅子何時になったら降りれるかわからなくなるじゃん!」


「大丈夫です、店長が一生車椅子でも世界は回り続けます。」


「泣いていい?」


 駄目、はよブラッシングしろ!



「店長ーお会いしたいというお客様です。」


「ご指名!?珍しいな、何だろう?」


「じゃあきゅーちゃんは私がブラッシングします、おいで?」


 はーい、膝を蹴ってぴょーんと店員さんの元へごー!


「んごぉ!わざとだよ!今の!」


「お客さんがお待ちてすよ?」


「あうー私の立場がどんどん悪くなってるー気のせいー?」


 気のせいじゃない、はよ行け。


 ガラガラと車椅子を誰にも手伝って貰えないマドロンさん、不憫よのう。





「はぁはぁはぁ、あ、あの何でしょうか!」


「あ、はぃ、大丈夫ですか?」


「……大丈夫です!」


「あ、はい。あのご相談が、あって。」




 ……?気のせい?聞き覚えある声がする、けど、んな訳ないよね。


「はぁ、ここで働きたいと……うーん」


「こんにちは、店長に変わりまして副店長の私がご相談に乗りますので。」


「……は、はぃーお願いしますぅ。」


 バッと振り替える、やっぱり気のせいじゃない!!ポンコツ馬鹿の声だ!


「ンミィ?」にんげんとおはなししてるの、ちがうの


「ピ?」ぽんこつ?にんげんになった?


 ええっ!?嘘だろ……って堕ちる話聞いたけどアイツ……恋したのかっ!


「ンミイッ!!」こいなのー!おいしいの?


「ピピィ」ねぇね、たべものじゃないの、にんげんのどろどろしたものなの


「ミゥ」きもちわるいの


 ぴーちゃんの心理が不安だ……よく見てあの顔!超普通の普通顔!俺像で見たからしってるの!


「ミィミ」ふつうなの、そこらへんにいるの


「ピィー?」あれがかみさま?いげんがないかお、よくない



「きっ、聞こえてるんですけど……」


「はい?何がですか?幻覚ですか?持病をお持ちなんですか?」


「ちちちがいます!至って普通の、ふつう……です……。」


「そうですよね、失礼ながら鑑定致しましたので、普通ですね、至って普通ですよ。」


 おう、副店長に煽られてる、こわっ


「今まで何処かで働いたご経験は?」


「え、とココではないです。」


「では、以前は何の職業に?」


「か、あーあの管理職を」


「管理職ですか、計算はお得意ですか?」


「……できません。」


「出来ないのに管理職ですか?どういった職場なのか興味がありますが、どういった?」


「えっ、と、そのせか、じゃなくて、えーとぼ、防衛的な?」


 アホか……


「防衛……で計算も出来ない、と?おかしくありません?そんな重要な職で。」


「そ、そうですね、計算は必要としてなかったんですよ、楽なお仕事でした……」


「使い物にならなくてクビになりました?」


「いえ!逃げました!」


 救えないー!馬鹿ー!あいつが何で人間になってるのか分からないが、就職探しているのはハッキリしている、なのにアレとは、俺の神様は泣ける位馬鹿だわ……


「ンミィ?」にぃに、どうするの?


「ピー」つかいようがない




「逃げた、と。成る程都合が悪くなると逃げるのですか?」


「そっ!そんな事ありません!逃げたって言うか追いかけて来たと言うか……」


「あなたストーカーですか?」


「違いますぅー!!」


 あながち間違ってない。


 つーかアドリアナ居ないの?何処行ったんだよ!肝心な時に居ないとかっ!どーすんの、見捨てる訳にもいなんのだよ!


「ミッ」ならおたすけなの


「ピ?」ひつよう?


 ぐぅーしょうがねぇ、助けるしか道がない!馬鹿は手が掛かるぅ!


「家のペット狙いですか?通報しますよ?」


「きゅーちゃん!に会いに来たんです!」


 バカ野郎!


「すみません、警備呼んでください。」


「うえええっ!?」


 ドアに体当たり、一応壊さないように……


「?ワンコさん?」


 やめたげて!神様なのー!バカ野郎だけど!通報しないでー!


「きゅっ、きゅーちゃん!!助けて!」


「……あらお知り合いでしたか。」


「そそそそうなんですー!愛し子なんですー!私の大事なー!」


 だーってろ!誤解を生むだろ!!


「ほう?愛し子?大事な?……野良してましたけど?あなた飼い主なんですね?」


「え!」


「ええー!きゅーちゃん達捨てたのアンタなのー!?許すまじー!」


 マドロンもだーってろ!!


 お願いお願い!開けて開けて!捕まる!


「ミイー!」みぃもおたすけー!


「ピィー」しょうがない


 三匹でドアを必死にどんどん体当たり!お願いやめたげてー!


「…………取り敢えずワンコさんから事情を聞きますが、近寄らないで下さい。」


「あうあうっ!!」



 店員さん達にがっちり捕獲されたポンコツが泣いているが自業自得だろ!アホな事言いやがってからにー



 扉を開けて副店長がお庭に座る、トントン地面をたたく、あ、はい。座りますぅ。


 三匹で揃って座る、尋問の時間です。


「あの方は、飼い主ですか?」


 厳密には違うがコクコク。


「では、何故あなた達が野良をしていたんですか?捨てられました?」


 逆に捨てたんですぅ、フルフル。


「飼い主なのに、野良で捨てられてないとは、ミステリーですね?」


 そーですね……仕方ない、事情をおしえよう、地面に事のあらましをカキカキ。


「飼い主を捨てた、違う世界が見たかった、追いかけて来た……謎過ぎるんですが?」


 へへっですよね!カキカキ


「大事な飼い主なので、離してあげて?本当に?……犬に捨てられる飼い主なんて居るんですね?」


 コクコク、しょうがなかったの!って言える訳もなく。ついでにカキカキ


「飼い主が馬鹿だから?見捨てた?……まぁそれは話して分かりましたけど。」


 ガラガラと車椅子でマドロンさんが向かって来るけど、面倒だな。


「すみません、店長の捕獲も。」


「なっ!なんでーー!!」



「……つまり飼い主が馬鹿で見捨てて違う場所で生活したかった、けれど飼い主が追いかけて来た、で?」


 ま、まあそんな感じ?コクコク。


「馬鹿で見捨てたんですよね?また飼い主に戻るんですか?」


 三匹でシンクロフルフル。


「ほう、戻りはしないと、それで飼い主はここで働きたいと来たのですね?」


 多分ね?コクコク。


「ふぅ…馬鹿ですか、どうしましょう。」


 カキカキ。


「俺達担当の世話ががりでコキ使えばいい?……成る程雑用ですね。」


 それしか出来ないだろ……


「まぁ、事情は分かりましたけど、雇うかは少し考えます。」


 待って!あいつ馬鹿だから他じゃ駄目なんだ!俺達が管理しないと駄目なんだ!


 ヒシッと三匹でしがみつく、お願い光線!効かないのは承知よ!


「どっちが飼い主かわかりませんね、これでは……仕方ないです、雇いましょう。」


 わー!有り難うー!グルグル三匹で回る、ぴーちゃん遅いぞー訓練が足りん!


「ピァー!」くんれんよりあしのながさー!


 ……ですよね。


「はいはい、嬉しいのは分かりましたけど邪魔です。」


 サァー!っと離れる固まるのよ!


「人を悪者にしないでもらえます?」


 ち、違うよ!こあいだけだよ!


 と、言う訳で無事ポンコツが雇われました、雑用に。

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