幽霊と神様にこんにちは

結婚について

　霊界と神界での婚姻についての話をしよう。

　霊界では結婚というものは存在しない。個人的に結婚みたいなものは起こり得ることもあるが、役所へ届け出て公的なものとなることはない。魂でする本来の婚姻関係とはまったく違う。

　前の章でも説明したが、霊界は霊層ごとに住む世界が違い、行き来が基本的にできない。死んだあとに、すべての家族関係は一旦解消される。そのため、夫婦も親子も兄弟もいなくなることが非常に多い。もちろん、同じ霊層で同じ世界で仲良く生きている人たちもいる。

　基本的に霊界では、コミュニティーを組んで、様々な年齢層の人たちが同じ世界で過ごしている。恋愛関係も存在するが、霊層が変われば、別世界へと自動的に移動するため、同じレベルにならないと根本的に会うことどころか、連絡すら取れない。

　そうして、いずれは誰もが神の領域へと上がる。そうなると、婚姻の法則が大きく変わる。神の世界は、私たち物質界と同じように、家族で暮らしている。

　しかし、私たちの結婚とは違い、神聖な儀式が必ず行われる。

　こちらの世界で見かける教会のような、儀式場へ男女ともに行き、専門の祭司が儀式を執（と）り行う。それは、お互いの魂を相手に分け与えるものである。

　前の章で養子について書いたが、神の世界の血や遺伝子のつながりは、魂のつながりである。おかしな話だが、夫婦同士でも心だけでなく、魂の肉体――霊体という確かなものでも結ばれるということである。この世界では、夫婦は所詮他人などと言われるが、そういうことは起きない。

　この結婚の儀を行うと、男女間の仲は、普通の人が感じ取ることのできない、相手のちょっとした心の変化に敏感になったりなど、他人とは違うところがいろいろ出てくる。分身をした際も、他人には本体との違いはわからないが、夫婦にはわかるようになる。

　前の章で書いた、複数婚の場合だが、新しい夫婦や子供たちが加わる時は、元々の家族と全員で儀式に参加し、魂をそれぞれに新たに分け与えることとなる。

　小さな子供たちにとっては少々退屈な式となってしまうが、家族となるためのものである以上、じっとしているしかない。

　別の家族だった人々が血や遺伝子と同じつながり――魂が通うため、本当の親や兄弟となるのである。生まれて来た親が違っても、全ての親の子供ということだ。

　その後生まれてくる子供も全員の親の子となる。全ての親に他の配偶者の魂が入っているのだから、どの親から生まれても、その家の子供であることに間違いはない。

　通常の儀式の時間は、昼の12時から13時までの一時間。参列席には親族を始め、友人なども出席する。私たちが経験している式とは違い、非常に神聖なもののため、全員静かに着席している厳（おごそ）かな儀式となる。

　これが終わると、式場の外で友人などに胴上げをされたり、話をしたりすることが行われる。しかし、披露宴というものは通常行われず、ここで結婚式はお開きとなる。

　役所への届け出は、儀式が終了してからとなる。簡単なもので、家族全員の名前を書けば、それが婚姻届として受理される。

　男性の苗字に変わる女性もいれば、新たな性を名乗るという夫婦もいる。もしくは、婿養子という結婚の仕方など、様々な形で婚姻関係は成立している。

　家が途絶えるという考え方は、私たちの世界のようにはしない。なぜなら、誰も死ぬことがないため、途絶えることは起きないからだ。その点ではかなり自由である。

　結婚までに至る経緯だが、私たち人間と変わらない。恋愛やお見合いをして、お互いの家に挨拶へ行って結婚するである。

　他人優先が当たり前のため、基本的に結婚は反対されないようだ。ただし婚姻関係を結ぶと永遠に解消することはできないため、家族の中で何か他と違う問題がある時には、それでも結婚したいと思うかの確認は取られることがあるそうだ。

　それでは次は、いよいよ、神様と深い――プライベートの話をする時に必要な豆知識を覚えていこう。