乾麺は説明書通りに茹でるべし

結婚当初のこと。仕事から帰ってきた夢生がスーパーの袋を台所において「うどんが食べたいから買ってきた!」と言い出したのが事の始まり。


琴子が最初に思ったのは(面倒臭い!ってか冷凍うどんでいいじゃん、作ったあと鍋洗うのも怠い)だった。しかしまだ新婚ホヤホヤ、愛するダーリンに嫌われたくないと思った琴子は「具はほうれん草とネギとたまごでいいかな?」と、冷蔵庫チェックをし、やる気満々の姿勢を見せた。面倒だなんて微塵も思ってないけど?という猫をかぶっていたのです。


思い出してみると、昔は妻として旦那様に尽くしたいという心だけは、満点だったな。


料理の腕も、自分ではそれなりにできるレベルだと自負していたから(まあ適当に茹でればできるだろう)と思って鍋に水をいれて火にかけた。その後すぐに乾麺を入れて、水が沸騰したら、混ぜて、あとはそのまま丼にうどんの麺と具と汁をいれて、出来上がり♪余った麺はボールに入れて食卓まで運んだ。


さて、可笑しな部分はどこでしょう?


夢生と一緒に

「「いっただきまーす!」」

をして麺を啜る。


(なんか変な味のするうどんだな…?)でも琴子はB級グルメもイケる口だから、特には気にしなかった。※後日、そういう問題ではないと夢生に叱られた。


「ごめん琴子…不味い」

新婚だからか、当時の夢生は苦笑いで謝りながら箸を置いた。ちなみに現在ならしかめっ面して「不味い何これ?」というだろう。


「粉っぽいし、芯が残ってるよ!ちゃんと説明書をみて作った!?」


「えー、説明書よんだよ!○分って書いてたからその通り茹でたよ!」


残念なことに不味いものを作っても最初に謝る言葉が出ず、反論してしまった。その時の琴子は、確かに説明書通りに作った!と思っていたから。


「乾麺うどんをまともに作れない人がいるなんて…味見はした?」


「ん?味見?してない」


「しなよ!!普通は味見して茹で具合を確認するものでしょう!」


「だって○分って書いてたから…」


夢生は料理も裁縫もお菓子作りもできる女子力高い系男子。だからか私の言葉にびっくりしていた。


「いやいや、味見は料理の基本でしょ、ないわー」

そして呆れていた。


結局、不味いうどんは琴子が処理して、夢生は私に「こうやって作るんだよ」と教えながら新しく茹でた美味しいうどんを食べた。一口貰ったけど、めっっちゃくちゃ美味しかった。


教訓、乾麺は説明書をよく読んでその通りに茹で、味見を怠るな。というのを学んだ琴子でした。


そして書きながら思ったけど、まずいものを食べさせちゃったんだから、素直に謝らないと駄目よね。

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