始動2

彼は街に向かうまでの間に色々試した。

走ってみたり、跳んでみたりと

どれも想像を遥かに超えていた。




そして今も走っている。

だいぶ走ったであろうか。

前方に街が見えてきた。

彼は走るの止め歩き始めた。

その間、人にもなにも会わずに平和であった。


さらに歩き続けると、

街の入り口の門が見えてきた。

門の前では人が並んでいる。


このまま並んだとしても

無事に入れるのだろうか?

いや、無理だろう。

入るには何かしら必要なはずだ。

例えばお金や手形が。やはり情報が足りない。

近づいてから変化して誤魔化すしかないな。


最終列にいる商人の馬車の後ろまで来る。

馬車には大量の荷物が積まれていた。

彼はバレないように液状に変化する。

液状になっている間は銀色である。

そして液状になったまま荷物の中に潜り込む。


しばらく経つと商人が門の前まで来る。

門番であろう兵士が気さくに話しかける。


「エミリオさん今日は荷物いっぱいですね。」


どうやらこの世界の言葉は俺に通じるようだ。


商人―――エミリオは兵士に硬貨を渡しながら答える。


「ああ、もうすぐ戦争があるからな。商人としては稼ぎ時だよ」


そういうと兵士は硬貨を確認をして


「そうですね、はい通ってもらってけっこうです」


そう言われるとエミリオはそそくさと街の中に入っていく。


どうやら街はかなり大きいようだ。


馬車はそのままさらに進み、

他の建物よりひと回り大きい庭付きの建物の前に止まる。

エミリオの店はかなり大きい商店のようだ。

使用人が建物から出てくる。


「エミリオ様戻られましたか」


「馬車と荷物を頼む」


「わかりました」


使用人が庭裏にある馬車小屋に馬を連れていく。

その間に周りを確認してから彼は荷物から飛び出る。


『無事に入れた。さて始めるか』


異世界ティルナノーグに来てからの初めての街だ。

とにかく情報が無い。情報が無いことには始まらない。

適当に散策して情報収集だな。


このカラダを使えばわかることはたくさんある。



【オルデス王国】


【ジュラール大森林】を中心にして西側にある国である。

ジュラール大森林に1番近い都市を【城塞都市エルドラ】、王都【オルデス】この2つを中心に繁栄している。

S級冒険者チームと共に先々代の王が魔王を倒し、

その圧倒的なカリスマ力で当時は大陸一番の国であった。

近年は陰りが見え始めている。


【ジュラール大森林】


様々な部族が生活をしているとても大きな森林。

部族同士の小競り合いが日常である。


【ハイドフェルド帝国】


ジュラール大森林を中心に南側にある国である。

帝都【ハイドフェルド】を中心に繁栄している。

軍事力が強く、【帝国八剣】と呼ばれる8つの精鋭部隊がある。

オルデス王国の衰えをいち早く感じ、

領地拡大を目的にオルデス王国に対して宣戦布告をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る