プロローグ7

顔をしかめながらも必死に名前を考える。


だが答えは出ない。


『でもよ、名前なんてすぐ浮かばないぞ?』


「大丈夫ですよ!そんなこともあろうかと私が用意しましたよ」


なんで変えてほしいとか言ったんだよ‥

最初からそれでいいじゃねえか。


『はよ、教えてくれや』


「はい、松木鉄心さんの新しい名前わ」


どこからともなくドラムロールが聞こえる。


ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルル


ジャン!!


「パインツリー・アイアンハートです!」


俺の名字と名前を英訳しただけじゃねえか


『パインツリー・アイアンハート…』


「そうです、従って種族もアイアンハートに変更しときますね」


ノートパソコンをカタカタし始める。


もうどうにでもしてくれ‥


「鉄心さん改め、アイアンハートさんの働きに期待しています、本当に視聴率のために頑張ってください視聴率のために」


カタカタしながらも念をおされる。


『まだまだ聞いてないことだらけの気がするんだが?』


「もう勘弁して下さい。実はというと本当は情報を与えてはいけないんですよ。バレたらやばいんですから」


異世界定番のステータスや

レベルや鑑定やらはあるのだろうか?

国はどんな国があるのだろうか?

強い奴やヤバイ奴はいるのだろうか?

聞きたいことは山ほどある。


だが質疑応答はもう終わりのようだ。


「それではそろそろ異世界に行っ」


テンテンテン♪、テンテンテン♪


どこかで聞いたような音楽が鳴る。


「あっもしもし、プロールです。お世話になります。え?今回の番組?いやー今回は視聴率が取れそうですよ。なんてたって期待の新人が入りましたからね」


こちらをチラッと見る。


「スポンサーのお願いですか?ああそうですか。なるほど、そのくらいなら余裕のよっちゃんですよ」


例の上の人と話してんのか、天界とやらも大変だな。


「じゃあまたよろしくお願いします。失礼しますー」


終わったのか。


「アイアンハートさん、お願いがあるんですよー」


アイアンハート‥呼ばれ慣れないとな。


『なんだ?』


「スポンサーからのお願いありまして、服装をですね、真っ黒のフード付きローブみたいなヤツにしてもらいませんかね?いかにも怪しくて敵が着てそうなヤツに」


スポンサー様は俺をイジメたいようだ。


グニャッ


服装が変わる。


『これでいいのか?』


俺の周りを服装見ながらプロールは一周回る。


「いいですね、いかにも怪しくてたまらないヤツですね!なるべくフードは被ってくださいね!」


怪しさ満点の俺を誰か殺してくれ‥


『なるべく善処する』


「では改めまして、異世界ティルナノーグに行ってもらいます。良き異世界ライフを、視聴率を」


プロールが両手を叩く


「パンッ」


またもや視界が歪んでいく。

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