メンタリティ
『存在意義そのものを否定されるのと同じなのですから』
ひめのその言葉に、
「…それは、私が
そう問い掛ける彼女に、ひめは優しく頷く。
「そのように受け取っていただいても差し支えないと思います」
利き腕の親指を失ったことで
しかし、今は、
それについては
仕事を失い役目を失うと急速に気力が衰え生気を失い、そして死に至る。ここでは<老後>というものは、多くの場合、ほんの数年しか存在しなかった。役目を持たない人間が生きてるだけで大きな負担となるのを、誰もが骨身にしみて知っているからかもしれない。
これは生物として考えれば自然なことなのかもしれないが、人間の<心>を読み解く機能を与えられたメイトギアであるひめにとっては決して好ましい状況とは思えなかった。過剰に自らの心を押し殺し、『役目がないものは死なねばならない』的な発想を持つ人間達の姿は、ひめにとってはある意味で<苦痛>だっただろう。
実際、彼女のメインフレームにはそれが原因となった負荷がかかっている状態でもある。彼女が自ら地表に向けての坑道を掘ることに拘っているのも、そういう理由があるからとも言える。
過酷な環境に過剰適応したことにより、ここの人間達はロボットに近いメンタリティを得るに至った。ひめにとってそれは、<悲しいこと>だったのかもしれない。
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