知らない感情

あの人は絶対シアワセをつかみ損ねたと僕は思う。


「ねぇ、今から遊ばない?」


逆ナンだった。綺麗な人で細くて白くて

触れたら消えてしまいそうだった。


彼女の家で寝ていると知らない男が入ってきた。急いで帰ろうとすると


「ただいま」


男は彼女に話しかけた。


「うん」


彼女はそれに応えて普通の会話し始めた。

僕はまるで空気みたいだった。


タイミングを見て部屋を出ると彼女からメールが来た。


「またあってくれる?」


僕は別に嫌な気はしなかった。

彼女からの連絡は気ままでそれまではいろんなこと一緒にいた。


また、知らない男と出くわした。でも彼はからっぽな顔をしていた。

何も言わずにすれ違い、部屋に向かう。


ドアは開いてた。


「どうしたの」


僕はすこし、驚いた。

いつも笑っている彼女が、苦しそうに笑う彼女が

ストラップを握りしめて小さく泣いていた。


僕はその場を去ることにした。彼女の連絡先も消すことにした。


僕は感じたことの無い感情に少し、イラついた。

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