第11話屋上

 僕は笹川詩織にそう言った後に、すぐに自分の席に行く。

 あの笹川詩織に言ってやったと思うと、内心スカッとした。

 席に着いた僕は、教室をキョロキョロと見渡す。

 笹川詩織が昨日のことをばらしているんじゃないかと思ったが、いつも通りの様子のクラスメイト達を見てそれは無いと安堵あんどする。

 でもその安心は長くは続かない。

 あいつが一言いうだけで、僕は地獄に叩き落されてしまうのだから。

 押した瞬間爆発する爆弾を腰に巻かれてる気分だ。

 そんな最悪の気分の中、僕の学校生活はスタートした。

 あいつの機嫌が悪くなったら八つ当たりでばらしてしまうのではないか……。

 そんなことばかりを考えていたせいか、授業にまったく集中出来なかった。

 どうして僕がこんな目に合っているのか、思い当たる節があるせいで余計イライラする。

 どうしてあの時笹川詩織を追いかけようなんて思ってしまったのか……。

 昨日の僕を思いっきり殴ってやりたい。

 僕は怒りと焦りと不安など、いろいろな感情が混ざっておかしくなりそうだった。

 そして迎えた昼休み。

 授業に集中できなかったせいか、ものすごく時間が経つのが長く感じた。

 僕は親から作ってもらった弁当を取り出すと、教室を後にする。

 教室から出てすぐ右に曲がったところにある階段を上り、一番上まで上がると、屋上に行くための扉がある。

 僕はその扉を片手で開けると、そのまま屋上に出る。

 ここなら人が来ることもほとんどないし、落ち着いて食事ができる。

 ちなみに僕はここに人が来るのを見たことがない。

 僕はここにある屋上を、高校に入学してから今日までずっとお世話になっているが、昼休みに人が来たことは一度もない。

 ここなら人も来ないし、落ち着いて食事ができる。

 そもそもこの学校に屋上があるって知っている人間自体少ないと思う。

 僕は安心して袋から弁当を取り出す。

 そして弁当箱のふたを開けようとしたとき、屋上の扉についてあるドアノブがガチャっと音を立てた。

 え……?

 まさか人が来るのか?

 今まで一度も屋上に人なんか来たことないのに……?

 いったい誰が?

 僕はいろいろな疑問が浮かぶなか、ゆっくりと開けられる屋上の扉をまじまじと見ていた。

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