寝釣り

 25:00。波止場で夜釣りを続ける一同。連日の疲労からか、みな寝そべりながら釣りをしている。


「全員寝釣りの体勢に入りました」


 無駄な解説をする鈴井校長。


「釜揚港寝釣り甲子園。果たして栄光を掴むのはどの選手でしょうか?」

「寝ー釣り!寝ー釣り!寝ー釣り!」

「ギャラリーから寝釣りコールがかかっております」


 鈴井校長が静かな声でひとり盛り上がっていると、しげるが何かを見つけた。


「校長」

「どうした、リーダー?」

「ヤスケンが『マジ寝釣り』に入りました。竿の代わりに懐中電灯を握っています」

「それはかなりの高等テクニックだ」

「安永選手、本格的な『マジ寝釣り』に入った模様です。モモッチの夢でも見ているのでしょうか?」

「あ、モモッチ?」


 ふと目覚める安永。懐中電灯を握っている姿に気づき、あせって竿を握りなおす安永。


「ああっと、残念。安永選手『マジ寝釣り』終了です。これから、寝釣りも正念場。各選手『マジ寝釣り』に入るのでしょうか?楽しみです」


 ひとり盛り上がる鈴井校長。一方、あすか先生はミッフィーを抱きまくら代わりにして車で熟睡していた。



 その後、男たちは大したあたりも出ず、寝釣りの体勢のまま夜が明けた。


「はい、試合終了!」


 鈴井校長が元気よく試合終了を告げた。

 学校についた一同。学校に残った面々が迎える。しかし、疲労のあまりゾンビのように歩く男たちを見て、みな引いてしまった。

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