視えなくていいよ

もしもわたしの目が治ったら



あなたと一緒に世界を見て回りたい




約束したのは遥か昔



ずっと離さないで握っていた手



もう別たれることはない



世界を隠してしまうきみの白い布



もう外そうだなんて思わない




空はどんな色かしら



雲は柔らかい形なのかしら



風は触れるかしら



海はどこまで続くのかしら



山はどれほど高いのかしら



あなたはどんな顔をしているかしら




願うきみにはもう会えない



きみの願いは叶わない




世界は歓楽を失った



人間たちが笑わせ方を忘れてしまったから




触れる手だけが暖かい



そろそろ息は絶えてしまう



きみは何も視えなくていいよ



ぼくたちの世界は壊れてしまったけれど



きみの世界は鮮やかなままでいて

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