月に願う、陽に眠る

黒胡麻七味

茜色の空

夢を謡おう


空に落ちて 凍りついた世界を見下ろそう


時を謳おう


ふるえる体を抱きあって 灯火の光を見つけ出そう


天を唱おう


雲の隙間を漂って あの日の思い出を探しにいこう


夜を詠おう


あなたのいない空の果てで あなたの願いを取り戻そう




いつか見た空は遠く

今はただ闇に閉ざされた


果てなき世界は音もなく

きみの歌は届かない


それでもきみを探し出そう

きみが望んだ夢を抱いて


暗い大地の奥底で

きみと空飛ぶ夢をみた





空に溶けゆく暗闇は 茜色に抱かれて眠りに落ちた


微睡みの中で あたたかい日色が満ち溢れる


薄く広がる紫の布地が 若葉色に染められた


ひとつひとつ 真珠の粒を垂らし込んで


金色の明日を迎えよう


またいつか あなたに逢える その日まで


凍えた空で 光を歌い続けよう

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