第68話 俺も頑張ろう。
俺と圭佑は今美樹達の元へと戻っているところだ。インフォメーションセンターにはどうも圭佑がハンカチを落としたらしく落とし物としてきていないか確認に来たかったらしい。
「悪いな。付き合ってもらって」
「いや別にいいよ。でもハンカチ無かったよな? 探す? 」
俺は圭佑にそう聞いてみるが
「いや、そこまでしなくていいよ。もし落とし物としてあったらと思って来てみただけだから。流石にみんなで探してもらうのは悪いしここまで広いと多分見つからないよ」
と圭佑は言ってきた。
「まあ広いと言っちゃ広いからなあ」
確かに探しても見つかるのかなあという考えもわかる気がする。
「そこまで大事なものじゃないし気持ちだけ受け取っておくよ。それに落とし物の預かり所までついてきてもらったしな」
圭佑はそう言ってにこやかな笑顔をみせてくれた。ふん、イケメン顔めが。
美樹達の元へ戻ってみると美樹と亜美姉ちゃんは仲良く談笑していた。この時間に仲良くなれたのかなあと思いながら俺達はふたりに声をかけた。
その後は乗り物等には乗らずその場でのんびりとした時間を過ごした。亜美姉ちゃんが飛び出さないかと思っていたけどそうでもなく。
ただ、話したことはほとんど俺のことだった。小さい頃はどうだったとか足を滑らせて川に落ちたとか美樹が知らない俺ことを圭佑と亜美姉ちゃんは教えてあげるかのように。
そしてそれを聞く美樹はとても嬉しそうに聞いていた。俺としてはすごく恥ずかしいことばかりだったけれど美樹が喜んでくれるなら良いかと照れながらも美樹の笑顔をただ黙って眺めていた。
そろそろ暗くなってきそうな時間になっていた。少し肌寒くもなってきたのでそろそろお開きをしないとと声をかけようと思ったが、そこは亜美姉ちゃん。
「そろそろ帰ろっか。だけどやっぱり遊園地でデートと言えば、最後は観覧車でしょう! 」
そう言いながら立ち上がりビシッと観覧車の方を指差した。そんな決めポーズ取らなくてもとみんな苦笑してしまう。ただ……俺としては
「俺観覧車がいちばん苦手なんだけど……」
そう、高いところがやっぱり苦手な俺としては観覧車が一番怖いのだ。ゆっくり登って一番高いところまで行くあの乗り物。なんでみんな乗りたがるのか俺には信じがたいそんな乗り物なのだ。だけど
「そんなこと言っていいの? 美樹さんすごく乗りたそうだよ? 」
亜美姉さんがそう言うので美樹の顔を見てみると残念そうな顔を確かにしていた。そんな顔で
「蒼汰さんが嫌なら諦めます。我慢します」
そう言われたら俺としても乗らないわけには行かないじゃないか。
「いいよ。最後に乗ろうか。俺も頑張ろう」
俺がそう言うと美樹はすこし申し訳無さそうな顔をしながらも喜んでくれているように見えた。
「さすが蒼汰くん彼女思い! 」
そんな俺と美樹を見て亜美姉ちゃんは茶化してくるがまあそう悪い気はしないなとそう思えるのだった。
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