第41話 気になっているよ。



 昼休み、いつものように美樹さんと千夏さんと3人で昼食。そういえばと俺は千夏さんへ


「千夏さん、うちのクラスの新見って知ってます? 」


 と俺が聞くと、千夏さんは思わずむせて咳き込んでしまった。


「え? どういうことだ? 蒼汰くんは何を知ってる? 」


 なぜか慌てたように俺に問いただしてくる。


「いや、新見とは仲が良いわけではないんですが、今日の朝にいきなり声をかけられて千夏さんとどうやって仲良くなったか聞きに来たんですよ。直接千夏さんと話しをしてたようなことは言っていましたが」


 俺は朝にあったことを話す。


「ああ、迷惑かけたね。でも蒼汰くんに話があったのなら丁度いいかもしれないね」


 そう言ってちょっと苦笑する。そして少し考え事をした後に続けて話し出した。


「昨日ね、新見くんに告白されたんだよ。一目惚れという話だったので断ったんだけどね。でもそれなら私のことを知るために友達になりたいと言われたんだが、それを一旦保留にさせてもらっているんだよ。」


 そういうことか。保留にされたんで俺にいろいろ聞きに来たということか。まあ、新見に大した事話せてないけどね。


「とりあえず友達も断ろうと思ってる。蒼汰くん何故か分かるかい? 」


 いきなり問題を出されてしまった。というかわかりませんよそんなの。


「いきなりそう聞かれてもわかりませんって」


 俺は素直に返答した。


「そうだよな、わかるわけないよね。私自身わからなかったんだし」


 千夏さんは苦笑してそんな事を言う。


「昨日、新見くんと会った後に美樹と話をしてね。わかったことがあって。私はどうも蒼汰くんのことが気になっているようだ。そして男の友達は蒼汰くんだけで良いと思ってるようでね。いや他にはいらないと思っているというのが正しいかな。だから新見くんには悪いが断ろうと思っている。だけど、まだ恋愛で言う好きなのかどうかはわからなくてね。とにかく私自身よくわかっていないけれど、気になっていて側には居たいと思っているみたいなんだ」


 千夏さんは少し顔を赤くしながらそんな事を言う。


「千夏ちゃん、ちゃんと言えましたね」


その横で美樹さんはニコニコと微笑みながら俺達の様子を見ながらそんな事を言う。


「ライバルになってしまいますけれど気持ちを我慢するのは良くないです。それに蒼汰さんを好きになるのは当然ですから。とりあえず今はふたりで愛すということで良いと思います」


 何が当然かわからないよ。それにふたりで愛すって……美樹さん。なにも言えない俺を見て千夏さんは


「返事はいらないよ。恋愛感情かどうかもわからないんだから。ただ、私の今の気持ちを伝えておこうと思って。美樹にも言われたしね「素直になりなさい」って」


 そう言って微笑み合うふたりは本当に仲が良いんだなと実感する。


「ごめんなさい。言葉が出なくて。まさか千夏さんがそんな風に思ってくれていたとは思ってませんでした。美樹さん千夏さんふたりのことこれからきちんと見ていきます。俺がふたりのことをどう思っているかきちんと考えます。今はこれで勘弁して下さい。でも今言えることはふたりとも友達としてですが、俺好きですから」


 俺が言える精一杯の言葉を伝えるのだった。





 そんな俺の言葉を聞いてふたりはにこりと微笑んでくれるのだった。

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