第411話山本由紀子とは淡い関係 葉子と奈良行きの話

山本由紀子とのデートは、食事だけで終わった。

それは山本由紀子が大学職員、麗はその大学の学生であり、未成年ということが理由。

山本由紀子は、それでも別れ際に麗と握手。

「麗君、楽しかった」

「また図書館に来てね」

麗も、この淡い別れ方が、好き。

「はい、毎日でも」

と、軽く手を握り返す。


その麗が高輪の家に戻ると葉子が深く頭を下げてお出迎え。

「お疲れ様でした」

「すぐにお茶を淹れます」


麗がリビングのソファに座ると、言葉の通り、すぐに煎茶。

麗は、一口含み、肩の力が抜ける。

「助かります、甘味があって新茶ですか?」

葉子は微笑。

「はい、静岡の」


麗は、少し落ち着いたので、葉子に尋ねた。

「お世話係さんと、都内での最後の夜に、外食をするのですが」

「葉子さんは、何かご希望がありますか?」


葉子は、顔を赤らめる。

「そうですねえ、京都でも奈良でも、食べられないものが」

「和食、洋食、関係なく?」

葉子

「麗様にお任せしようかと」

「恵比寿でどうでしょうか、近くですし、素晴らしいお城のようなレストランがあります」

葉子の顔が、パッと輝いた。

「え・・・もしかして・・・フレンチの?」

麗は自然な笑み。

「その後は夜景などで」


葉子は、本当に胸がドキドキとする。

「まさか、あのお店に?関西女子の憧れや」

「その後、麗様と夜景?ロマンチックやなあ」

「はぁ・・・話だけでも幸せや」


麗は、また話題を変えた。

「時間を見て、葉子さんに案内して欲しいところがありまして」

葉子は、すぐに感付いた。

「奈良・・・でしょうか」

麗は頷く。

「明日香村を歩いてみたいなと、橿原神宮も」

「それから桜井の長谷寺」

「斑鳩の法隆寺、中宮寺、法起寺、法輪寺」

「ああ、その前に大神神社も」

言い過ぎたと思ったようで、麗は顔を赤らめる。


葉子は、そんな麗が実に可愛い。

「はい、どこからでも、ご案内します」

「それから平城京の周辺、法華寺、西大寺」

「西の京あたりでは薬師寺、唐招提寺」

「春日大社、東大寺、興福寺のある奈良公園一帯」

「元興寺のある奈良町界隈も」


葉子も、麗が考えていたところを連発するので、麗は苦笑。

「なかなか、何日もかかります」


葉子は、また顔を赤らめる。

「全てお供します」


そんな話のあとは、一緒に風呂。

そして、抱き合って眠る。

「葉子さんといると、違和感がなくて、何も気を使いません」

葉子

「これは・・・前世では夫婦なのでは?うちもそう思います・・・」


葉子の声は続かない。

すでに喘ぎが始まっている。

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