第157話執事鷹司は座敷牢に

執事鷹司の尋問を続ける五月のスマホに茜から連絡が入った。


「麗ちゃんの言った通りや」

「鷹司は、父さんの兼弘さんと、麗ちゃんのお母さんの由美さんの毒殺の数日前に恵理が託した現金を、殺人医師に届けている」

「しょうもない嘘を言って、誤魔化そうとしたけれど、麗ちゃんが論破した」


五月は、崩れ落ちたままの執事鷹司に、再び尋ねた。

「お前、何も知らんと言っとったけど」

「医者が白状したよ」

「兼弘さんと由美さんの亡くなる数日前に、お前が現金を持って来たと」

「嘘を言ったんか?」

「よくも、ぬけぬけと」


今度は、執事鷹司が土下座をする。

「えらい、すみません」

「恵理さんに逆らえなくて・・・」


しかし、五月は許さない。


「は?何やて?」

「お前、今、自分が言うたこと、わかっとる?」

「恵理には逆らえなくて、うちには嘘ついて誤魔化そうとするんか?」

「犯罪者には頭を下げて、うちを誤魔化す?」

「えらい、馬鹿にされたもんや」

「兼弘さんは、この九条の後継者で、うちの夫や」

「それから、由美ちゃんは、その次の男子後継者の母や」

「その殺人の手助けをするのが、執事?」

「執事はお家を守るための職やろ?」

「お前は殺人者の片棒かついで、壊そうとしただけや」


既に意気消沈、全く顔を上げられない鷹司に五月は、副執事の三条を呼び出す。


五月

「鷹司が、兼弘さん殺しと、由美さん殺しの片棒をかついどった」

驚いて鷹司を見る三条に五月が命じた。

「まずは、鷹司を座敷牢に監禁や」

「鷹司のスマホは、うちが預かる」

「その後は、大旦那と麗様の、処分を待つ」


鷹司は、執事の職を解かれ、力なく座敷牢に連行されていった。


さて、鷹司の座敷牢入りは、即座に茜のスマホに連絡があった。

「当面の処置やな、まずは隔離」

「鷹司のスマホも取り上げた」

「座敷牢には、電話もない、だから、どこにも連絡はできない」


大旦那は頷いて麗の顔を見る。


麗は、憂鬱な顔のまま。

「鷹司が使っていたスマホは当然、パソコンも全て調べましょう」

「何を隠しているのか、徹底的に」

「犯罪者として、当局に引き渡すのは、それからでもいい」


大旦那は、麗の判断に深く頷く。

「わしからも、あの一族に、重々因果を含める」

「当面、立ち直れないくらいに」


茜が麗の顔を見た。

「さて、それはそれ、時間も時間や」

「お昼にしよ」


麗は、実に面倒そうな顔。

出来れば、このまま東京に帰りたいと思っている。


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