第93話麗を射止める競争が始まる?
女将香苗が麗と電話をしていたことに、気がついた桃香が、女将香苗に声をかけた。
「なあ、麗ちゃんから?」
香苗は、まだうれしい顔のまま。
「そうや、麗ちゃんが少し大人になったんや」
「欠食麗ちゃんを助けてもらった山本さんって人にお礼をしたいんやと」
「まあ、うれしいな」
桃香も、その話には納得。
「そやなあ、それは、うれしいし、当たり前やなあ」
「何しろ、やさしいお姉さんって感じや」
「麗君は冷たい態度しとったんやけど、あないなことになって、お世話されて」
香苗
「ここのお店を選んでくれただけでも、うれしいわあ」
「まあ、欠食麗ちゃんやから、外食なんてしないから他の店も知らんと思うけど」
桃香
「このお礼とご接待には、商売抜きやな」
「はぁ・・・どんなものが好きなんやろ」
香苗
「図書館司書さんねえ、おとなしくて頭が良くて、行動力もある」
「相手を心配して、面倒をしっかり見る、しかも出過ぎない」
「麗ちゃんには、そういう人が似あうような気がする」
桃香は、それで少し焦る。
「香苗さん、うちとは違うってこと?」
「うちは大騒ぎして、感性で動くし・・・」
香苗は、そんな桃香を笑う。
「あはは、でも、桃香みたいな強引なタイプもいいかも」
「何しろ、麗ちゃんを押し倒して、食べたんやろ?」
桃香は、その言葉で、耳まで赤い。
「あかん、また欲しくなった・・・」
香苗は、そんな桃香のお尻を軽く叩く。
「今のうちや、大旦那も、晃さんも動いとる」
「下手をすると、手出しも出来ないほどの人になるよ、麗ちゃん」
「うっ」とますます顔を赤くする蘭に香苗。
「そういえばな、麗ちゃん、鎌倉で偶然やと思うけどな、瞳さんと美里ちゃんに逢ったらしい」
「まあ、麗ちゃんらしいな、最初は人見知りしてたらしいけど」
「瞳さんが出てきて、麗ちゃんに声をかけて」
「そうしたら、ようやくわかったとか」
「美里ちゃんが、声をもう一度かけようとしたら、逃げるように店を出て行ったとか」
桃香は、今度はため息。
「もー・・・麗ちゃん・・・逃げてばっかしや」
「美里ちゃんだって、あれほど一緒に遊んで・・・」
「それを見て見ぬフリ?」
「だから冷酷の冷ちゃんて言うんや」
「蘭ちゃんにも冷たいし」
「うちにも、最初は素っ気なかった」
香苗は、クスクスと笑う。
「まあ・・・今は、身分は別として、香苗が一歩リードやな」
「まずは身体を一旦はゲットした」
「美味しい思いをしたんや」
また顔を赤くする桃香に香苗は笑う。
「だから言うたやろ?今のうちに」
「のん気にしとると、美里ちゃんに取られるよ」
「それから、麗ちゃんと美里ちゃんの話を、ジェラシー目線で見ていたお姉さまもいるようだし」
桃香は、ますます混乱。
「あーーーー!もう!今夜は逆夜這いする!」
「香苗さん、メチャ意地悪や!煽り立てて!」
香苗は大笑いになっている。
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