輪廻

寺院

第1話 単騎駆け

あぁだこぉだ、一仕事終え帰宅する。

いつもの事で、仕事に行けば帰って来るのは当たり前。今日という日と同じ日なんて絶対ないのだけれど、いつも同じ様に過ごし、いつもと同じ差し障りのない1日やったなぁと、そう感じ、毎日が同じ日だと錯覚する。

食事、風呂と終え、少し睡魔が襲って来る頃にやってくる。それが


ミッドナイト競輪


何もない1日に変化を。 

勝利の女神は選手に微笑むだろうから、贅沢は言わない


当たれ


特に、もう後に引けない男達が駆けていくA級チャレンジが好きだ。

G1を何度も出ている(ような)選手、G1は出ていなくとも息長くA級を繰り返し昇降級している(ような)選手、デビューから鳴かず飛ばずの低め安定な選手。そして、学校を卒業したての新人選手も全員チャレンジから始まる。その走りに彼、彼女達の未来も分かる、ような気がする。

と、さも知ってるかのように書いているが、実際の所何も分かっちゃいない。

だけど、やる。ブチタイカラブツ


競輪にはラインがあり、同県同地区同期の者同士で仮のチームを結成し、それをラインと呼ぶ。なんだかんだと半ば無理やりにでもラインを組むのだけど、あぶれる選手がいる。

それが単騎。

ただ、あぶれるにも誰とも共通項がないだけの選手と緑のタンキ(弱くて混ぜてもらえない、気が引けて後ろにつかない)、ラインを組んでも旨みがないから組まない等があり、その中でも、緑のタンキが確定板に載るか、載らないかを予想するのが、大穴予想の第一歩であり、私の日課であったりする。

弱いという前提でただただ走っているのか、一発狙っているのか、見極めろオーレ


考えて、考えて、もう一度考えて、購入しかけて、またやり直している間に締め切り……。

自分の優柔不断さに嫌気がさすけど、まぁ当たらないもんな


おかねがへらなくてよかったよぉ


なんて余裕ぶっこいてると


ズッコーンとキタ


緑のタンキ


赤い番手と緑のタンキ、黄色いお方で万車券。


買えなかった安堵が一転、憤怒に変わり

今夜も寝不足確定板でオールナイト






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