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第788話 ニャックを使ってとある物の代用をする話をしました
第788話 ニャックを使ってとある物の代用をする話をしました
無理なダイエットは、不調に繋がるからな……いや、不調になるだけならまだしも、やり過ぎて病気になる事だってある。
それなら、食べる量はかわらなくともカロリーの低い料理を食べる事によって、健康的にダイエットを成功させようという試みだ。
幸いなのは、クレアさんを始めとした屋敷の人達は、ダイエットに固執するあまり、無理に食事量を減らし過ぎたり、過度な運動をしようとまでは考えていない事か。
大体が、健康を維持する事で日々の生活をしよう、と考えているためだと思われる……ダイエットの優先順位低いわけじゃないんだが、健康であればこそという事だろう。
それでも、少し食事量を減らす傾向は以前に見られたから、ニャックの登場で改善できればいいかなと思う。
問題は、料理のバリエーションが少ない事だが……アレンジに関しては、ヘレーナさんに任せた方が良さそうだ。
俺では、料理経験が少なすぎていいアイデアが出そうにないから。
「あ、一つだけ美味しそうなアイデアがあるけど……まぁ、あれはそんなに作れないか」
「どんなアイデアなんですか、タクミさん?」
「……聞こえてた?」
一つだけニャックを使ったというより、代用した物を思い付きはしたんだが、さすがにちょっと色々な理由で難しいよなぁ……なんて考えていたら、思わず声が漏れていたようでクレアに聞かれていた。
見てみると、セバスチャンさんもこちらを見ているので、聞こえていたらしい。
「えぇ。タクミさんの言葉は聞き逃さないよう、いつも注意していますから」
「えっと……」
「ふふ、冗談ですよ。孤児院で子供達が働く方法や、駅馬の事がありますから。最近では私だけでなく、セバスチャンも注意しているみたいですよ? 思わぬ提案をして下さるので、それが面白いようで……」
冗談でも、ドキッとするからそんな茶目っ気のある雰囲気で笑わないで欲しい……嫌なわけじゃなく、恥ずかしいから……。
それにしても、色々と思い付きで話したりした事だから、どちらかというともっとよく考えろと言われてもおかしくないのに、クレアやセバスチャンさんは歓迎してくれている様子だ。
「クレアお嬢様、面白いだけでなく有効な考えと、実現できる可能性を秘めている提案なので、聞き逃さないようにしているのです。決して面白がったりはしておりません」
「……本当にそうかしら? 私が何かを言うよりも、タクミさんが思いついた事を話す時の方が、セバスチャンが楽しそうに見えるのだけど」
セバスチャンさんが面白そう、というのはクレアだけじゃなく俺も感じていた事だな。
説明が好きなだけあって、様々な知識を持っているセバスチャンさんだけど、自分の知らない知識や考えを聞くと、楽しそうにしている様子をよく見かける。
本人はそんなつもりはないのかもしれないが、結構わかりやすい。
「セバスチャンの事は置いておいてです。タクミさん、何かニャックを使って美味しい物を考え付いたのですか?」
「考え付いたというか、代用するだけなんだけどね……ただ、ちょっと難しい気がしているかな。……砂糖って、確か貴重なんだっけ?」
「えぇ。砂糖は誰でも買える物ではありますが、量も少なく価格もそれなりなので、一部の人が使う嗜好品に近い扱いです」
「それじゃ、ちょっと難しいかなぁ……でも、近い物はできるかもしれない」
ニャックを代用して作るのは、俺が知っている限りでは砂糖を多く使う物で、さらに言うなら本来は食べ物ではないため、限られた回数の食事と違って、作り始めたら大量に砂糖を使いかねない。
とはいえ、ニャックを代用するから、本来の物とは違っても砂糖を減らすか入れない事で、対応できるかもしれないな……まぁ、作ってみないとそれが美味しいのかわからないけど。
「近い物、代用……それはどういった食べ物なのでしょう? タクミさんは、ハンバーグやハンバーガーを作られたので、美味しい物なのでしょうけど」
「あれは、簡単だから知っていたというだけだけどね。ただ、本当に美味しいかはわからない。あと、食べ物じゃなく飲み物だね。ダンデリーオン茶があるから、新しく作る必要はないとも思うけど……」
「飲み物……ダンデリーオン茶も、痩せる効果があると言われましたけど、ニャックを使えばその飲み物はさらに痩せられるのですか?」
「いや……痩せる効果はさすがにダンデリーオン茶の方が高い……と思う。味は多分、多くの人に受け入れられるようになると思うけど……作ってみないとわからないかな」
「そうですか……効果は低いのですね……」
露骨に残念そうになるクレア……セバスチャンさんは新しい物だから、興味深そうだ。
ニャックで代用したとしても、俺が考えている飲み物はそれなりのカロリーなはずだからなぁ……砂糖を入れなければ、多少はマシになるだろうけど、ダンデリーオンには敵わない。
というか、よく知らないけどダンデリーオン茶って、ゼロカロリーとかじゃなかったっけ? さすがにそれよりダイエット効果のある飲み物を、俺は知らない。
いや、特別な脂肪燃焼効果があるとかそういうのならともかく、カロリーという点では、だな。
「して、その飲み物とは一体……?」
クレアが残念そうになって、乗り気じゃなくなった代わりに、セバスチャンさんから聞かれる。
なんというか、この主従は見ていて飽きないなぁ……。
「えっと、タピオカドリンクと言います。とある芋を使った物なのですけど……」
「ほぉ……」
タピオカは確か、キャッサバって芋から作られるデンプンの塊だったな……蛙の卵みたいな物、とか言うと、どこかから怒られてしまいそうだが。
もしかしたらキャッサバはこの世界にもあるかもしれないが、安易に使わない方がいいからな……有毒性のある芋だったはずだし、その毒を取り除く製法が確立されないと危険だから。
日本にいた時、芋繋がりでこんにゃくを使って代用して、ミルクティーに入れて飲むという話を何かで見た事があったのも大きいか。
タピオカはデンプンの塊だから、実はカロリーが高い……砂糖を投入したタピオカミルクティーは、もはやカロリー爆弾と言ってもいいくらいだっだはず――。
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