第149話 心臓
『問題 心臓の正しい位置はどこか?』
もしかしたら、左胸と答える方が多数派なのかもしれない。
しかし、心臓の左右には肺があるを考えれば、誤りであると気づくだろう。
心臓の位置は体の中心から左側であり―――
ほぼ、真ん中である。
創作物など、左胸への一撃で死亡する場面が、これらの誤解と生みだしたのではないだろうか?
しかし、左胸に穴が開くという事は、その内部にある肺に穴が開く可能性が高い。
肺に穴が開くという事は、そこから大量の血液が入り込み溺死のような苦しさになるらしい。
幸いにして、僕には心臓に穴が開く経験も、肺に穴が開く経験もない。
肺は2つあるのに1つが液体が入り込んだだけで死ぬほど苦しいの?と素人である僕は単純に考えてしまうが、よくよく考えてみれば体のどこかに穴が開くという時点で死ぬほど苦しいに違いない。
―――閑話休題―――
「いや、2人には手を出させないよ。それじゃ意味がないからね」
僕はカッコつけたわけではない。
吸血鬼から人間に戻る方法には、まだまだ分からない事が多い。
ただ、噛んだ吸血鬼を倒すだけではなく、噛まれた人間が噛んだ吸血鬼の心臓に杭を叩き込まなければならない…etcetc
諸説ありってやつだ。
手にした杭は、木でできてるはずだが、ずっしりとした重さを感じる。
必要以上に重さを感じるのはプレッシャーによるものか?
対して吸血鬼は心臓を守るようにガードを固める。
体の中心―――人体の弱点である正中線を守る格闘家のような構えではあるが、洗礼された構えとは言い難い。
まぁ、不死身の怪物である吸血鬼だ。
本来ならノーガードの超攻撃型スタイルで、相手の攻撃など気にせず攻め続けるのがデフォルトの攻撃法のはず。
単純にガードが下手なのだ。
だからと言って洗礼されていないのはこちらも同じ。
僕が手にした武器は木製の杭。 僕は杭を武器に使用するのは初めてだ。
そもそも、武器か? これ?
鈍器のように振るって殴りつけるという攻撃方法もあるが、基本的には突き技しか使えない。
これから始まる戦い―――
おそらく、戦いの精通者から見たら、酷く低レベルで不細工な戦いになるに違いない。
じり…… じり……
じり…… じり……
互いに間合いを詰める。
間もなく訪れるファーストインパンク。
そして、それは来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます