第23話 龍の足枷とステータス
僕の武器。
規格外の鈍器――――モーニングスター
「やっぱり、大きいと言うか……巨大過ぎるなぁ」
巨大な、本当に巨大な鉄の固まり。見上げるほど大きい。
それに対して柄……持ち手は普通だ。少し長めで、装飾が派手ではあるが……
まるで普通の人間が持つ事を想定したように――――
なんて言えば良いのだろうか? ……しっくりとくる感じ?
「さて、どこにやったかなぁ?」と僕はポケットを探る。
目的のソレを取り出す。
いわゆる片眼鏡。それを右目に装着した。
もちろん、ただの片眼鏡じゃない。こいつの正体は魔法の道具マジックアイテムだ。
武器の鑑定が可能になる魔法がかかっている。
正式な名称は鑑定メガネ。 そのまんまの名前だ。
町で鑑定士に頼めは安価な値段で鑑定して貰えるが……
これを手に入れた経緯を考えれば、他人には秘密しておいた。
「早速だけど
本来ならダンジョンの500層攻略した者に与えられる武器。
人類有史に存在していない武器でも鑑定可能なのか?
そんな不安もあったけれども……
やっぱり、不安よりもドキドキとワクワクが感情を占めている。
————やがて、鑑定結果がレンズに表示される。
名前 ―――
種類カテゴリ 鈍器
対物性能強化 攻城性能 有り
所有者のレベルに合わせて全てのステータスにプラス強化
ただし、素早さに対してマイナス修正
使用推奨 腕力 100
本来はドラゴンを拘束するために作られた。
しかし、ドラゴンが発する魔力を1000年に近い年月、浴び続けたため神秘性を有している。
その神秘性は使用者にさまざまな恩賞を与える。
『対物性能強化』と『攻城性能』は相乗効果があり、城壁などの建物に特別効果を有する。
ミッシッ―――
片眼鏡から軋む音が聞こえ、慌てて鑑定を中断する。
幸いにもレンズ部分に亀裂といった損傷はなかった。
通常の武器を鑑定した時の反応とは違う。
(鑑定できる限界を超えた? こんな事もあるのか……)
どうやら、鑑定そのものは簡単にできたが、その表示に不具合が生じたみたいだ。
考えてみれば、鑑定メガネの形状は片眼鏡になっているが、それは効果を固定するという魔術的な意味合いが強い。
実際には、レンズから微小の魔力が放出されていて、魔力の反射や反応を数字化してるに過ぎない。
もしかしたら、想定されている魔力の反射量を超えてしまったのかもしれない。
僕は深呼吸をして落ち着きを取り戻した。
そして、表示された情報データを思い返す。
使用推奨 腕力 100
この数字は熟練の探索者でも、腕力に特化した者がたどり着ける数値だ。
――――数字
鑑定メガネに表示された数字は探索者の力量の物差しとして使われたり、武器の性能を測定する目安に使われている数字だ。
この世界には探索者の力量を示すための探索者協会が定めた数字 レベルというものがある。
代表的なものは腕力 素早さ 体力 魔力 器用さ 運の6つ。
それに加えHPやSP。それらが強さの数字の基本だ。
細かく言えば攻撃力 命中率 防御力 回避 攻撃速度 なんてものがある。
これらの数字は凡庸性が高く、探索者以外にも使われている。
ちなみに、僕の数値は、ほとんどが10やそこら……
腕力 100なんて……
僕は
手から伝わる情報量。 圧倒的な力。
全てを破壊尽くす事すら可能なほどの――――
僕は柄を振るう。
金属音。僕の手と連動して鎖がしなる音。
そのまま、鞭のように振り下ろす。
「……」
――――やはり、ビクともしない。
本当に――――本当に、僕がこれを扱える日が来るのだろうか?
結局、この鑑定でわかった事————
龍の足枷は、数字的にも規格外という事だけだった。
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