彼の視点

 何年前かのことだった。一人の棒は言った。『時間をねじ伏せる事ができれば、私達はみんな幸せだ』と。

 しかし、もう一人の棒は言った。

『そんなことが起きてはいけない』と。

『幸福は、他人の不幸の上に成り立っているんだ。僕たちが幸福でいるためには、誰かに不幸で居てもらわないと。』

 彼は続けた。『だからこその、このタイムマシンだろ? 一人が、この世の不幸をすべて抱えればいい』棒は言った。『それじゃ駄目だ。それじゃ駄目だ』

 彼女は言った。

「人間は誤魔化された幸福じゃないと駄目なんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る