第9話 コースアウト

「トシちゃん、織田しゃん、またあひたー、ばいばーい」

サヤが手を振りエレベーターの扉は閉まった

晩御飯に行く時にたまたま2人と会いそのまま4人で食事へ行った



サヤ、大丈夫か

フラフラするサヤを支えながら言った


「だいひょうぶだって、おおげさだなぁ」

初めてこんなに酔ってるサヤを見た


パネルが10階を表示した時サヤが、エレベーターの端の角に座り込んだ


おいおい、大丈夫じゃないだろ


「ハルーだっこー」


こいつは子どもか


今、抱き上げると危ないから着いたらなと返す


20階に着いた


俺はサヤを抱き、部屋の扉を開ける

サヤはもう寝ていた


こいつなぁと思いながら静かにベッドに寝かす

薄い掛布団をかけ、俺は着替えを持ち風呂に向かった


頭を洗い、流している時に後ろで物音が聞こえた


流し終わり、浴槽に浸かると、風呂のドアが開いた


「サヤまだお風呂はいってないよー」


おいおいおいおい待て待て


目のやり場が無くなった


タオルも巻かずサヤが入ってきた


サヤ、ちょっと待て、俺もう上がるから


「いいよ、一緒に入ろ」


もう酔いがさめてるのかいつもと同じトーンだった

かかり湯をして、浴槽に入ってくる


俺の対面に浸かる


「おっきいお風呂気持ちいいね」

サヤが俺にそう声をかける


俺は小タオルで、目隠ししながら返した

お、おうそうだな、狭くないしなー


チャポチャポとサヤが湯をすくう音が聞こえる

顔を洗ってるのだろう


しばらく静かな時が流れた


一瞬、酒の匂いがした

と思った途端、またあの感覚が唇に触れた


離れた時、俺は サヤ、お酒臭い

と言った


「あぁーそんなこと言う奴はこうだー」

と、目のタオルを外された


お、おいおい


サヤが俺の頬を両手で持ちもう一度キスをする


俺は目を開けたまま、サヤが離れるのを待った


「いいじゃん裸くらい、見ても減らないし、ハルならいいよ」

とサヤが言う


俺が真面目すぎたのか、そう思った


サヤの体は世間一般に言う、ナイスバディなのだろう

締まる所が締まっていて出るところは出ている


「でも、あんまり見ちゃダメ、ちょっと恥ずかしい」そう言いながら鼻から下を湯に浸ける


顎を持ち、顔を湯から出して、俺がキスをする

サヤが首に手を回す


そのままグイっと引っ張り抱きしめられた


「ハル、体洗ってあげるよ、」

そう言いながらサヤは俺から離れた




私だって恥ずかしくない訳じゃないよ、

お酒の力借りてギリギリ出来たけど

ハルは私の目から視線を外さなかった


ハル、筋肉すごいね、服着てるとあんまりわかんないけど、と言うと

「そうか?まだ落ちてないだけなのかもな」

と返された

そっか、やっぱり、ムキムキじゃないとライダーなんて出来ないもんね


体を洗い流し、「俺も洗ってやるよ」とハルが言ってきた


だ、だめだよ、私は自分で洗うよ

力強すぎて、痛いもん

ほら先上がって

とハルを先にお風呂から出した


だめだよ、触れられたら我慢できなくなっちゃう


私が、体を洗い流し、お風呂を出ると先にパジャマを着たハルがバスタオルを広げて待ってくれていた


私は迷うことなく飛び込んだ


優しく体を拭いてくれた後、タオルを肩からかけてくれた

ありがとう。後ろ斜め上を向きながらハルに言った


「おん、髪の毛、しっかり乾かせよ」と言いながら奥の部屋に行った

きちんと、パジャマまで、置いてくれていた




時計を見るともう11時、早く寝なきゃなと思いながら俺は先にベッドに入った

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る