第7話亡くなった
病室を出る時に祖母に言った「また明日来るからね」
その明日は来なかった。
8月10日22時48分祖母は旦那と二人の息子に見守られながら生涯の幕を閉じた。74歳だった。歳をとっていると言ってもまだ若い方だった。
22時48分に父から祖母が亡くなったという電話があった。私と母と兄はがんセンターへと急いだ。兄はその日体調を崩して寝込んでいたのに祖母が亡くなったと聞いた途端自分も行くと言い出した。
病室に行くと白い布を被せられた祖母の姿があった。信じられなかった。人間に限らず生きるものにはいずれ死が訪れる。その死がこんなに早く来るなんて考えられなかった。祖母は絶対に長生きすると思っていた。きっと眠るように息を引き取る最後なのだろうと思っていた。よく考えてみれば祖母は半年くらい前に腰が痛いと言っていた。いつも元気な祖母がそんなことを言い出す時点でおかしかったのに「歳だし。大したことない」なんて思って何も言わなかった自分を悔いた。大好きなのに何も言わなかった自分が恥ずかしくなった。「病院に行ってみたら?」たった一言いえばもっと生きられたかもしれないのに。後悔が後を絶たない。
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