賽の目新聞

誠実に

　人は間違いを犯しても勉強なら、復習をすることによって次は正解を導けるようになるだろう。しかし、結婚は人生の墓場とも言われるほど重要な転機である。だから、簡単に間違いを犯してはいけない。

そんな間違いを犯さないためにも人は何ができるのだろうか。

　答えは簡単である。不倫をしてもバレない能力を付ける。策を弄して、小細工を駆使して、虚実を織り交ぜるのを得意にすれば良いのだ。間違いを犯すだけなら罪だけで済む。露見さえしなければ罰を受ける事はない。

　女は短絡的だ。騙すのなんて造作でもない。私はそう慢心していた。

　私は今机に置かれた紙を見つめている。緑色の線で区切られたそれは忌々しくもあり、私が望んだ結末でもあった。

　妻の声は震えていた。

当の私はただ、すまない…と復唱する他無かった。

1秒に満たない思考の中、頭に鳴り響く忌々しい着信音。

相手は……

「やっほー！パピーだよー！＼＼\└ (' ω ') 」//／／」

　電話の相手は無駄にテンションの高い父親だった。重い空気を壊した父親に要件を聞くと。

「妻と離婚したから俺首吊って死ぬわw」

　理解が出来なかった。唐突な父親の自殺宣言に離婚話などどうでも良くなった私は、父親と共に首吊って死んだ。

「パパー！まってよー！どうせ死ぬなら一緒に死のうぜー！(゜∀゜　)アヒャャャャャャ」