ヴァーヴス・ストラグル【MAGNET MACROLINKにて公式連載中!】
天晶 耀
第一部 アンチェインド・アーツ編
// 0 プロローグ
≪You Arts lose...≫
敗北の屈辱感をいっそう煽り立てるような重低音のジングルとともに、短く、そして決定的な一文がシャープな
なんてことはない、見慣れた光景。慣れすぎて、悔しさよりも「ああ、またか」って虚脱感の方が先行するような、どうしようもない敗北。
これがただの
「ウィーナー!デザイナーネーム≪ろっきー≫の
レフェリーA.Iのひょうきんな電子音声が試合のリザルトを高らかに宣言すると、20m四方のフィールドを隙間なく取り囲んでいた観客たちが一斉に拳を振り上げ、声を上げる。指笛を吹き鳴らし、手を叩き、フィールドの反対側で飛び跳ねて喜ぶ小学生と思しき男の子のデザイナーに賞賛の言葉を投げかける。
「ヴァーヴス・ストラグル出張大会ィ、ゲームセンター≪ビビッド≫
レフェリーA.Iの声に煽り立てられた観客たちが、いっそう大きな歓声を上げた。
その光景を、僕はどこか遠くの出来事のように、ひどく客観的にぼんやりと眺めていた。
対戦相手の
でもそれは経験の差であり、7年近くも筆を握ってきた僕と、まだ小学校低学年であろう彼とでは作品のクオリティに差が出るのは当然だから、威張るようなことじゃない。
それに、この
人間の大脳辺縁系より発せられた快感、快楽から生み出された人工知能搭載型汎用3Dモデル【
デザイナーの脳をもとに
だから、対戦で僕が負けた理由は作品のクオリティなんかじゃなくて、もっとデザイナーとして――――いや、クリエイターとしての根本的な部分。
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