カルセドニーダンジョン⑧



「……さん……りんさん……起きてください……」


誰かが私の肩を優しく叩いてる。


「あと……5分寝かせて……」


「……ナユナさん……私が変わるわ……」


今度は激しく肩を揺らされている……もう、誰?私を起こすのは


「りん君!起きなさい!もう朝よ!」


ん?!えっ!もう朝!?私は朝って言われて、おもいっきりガバッと起き上がった!


起き上がった瞬間ゴン!と額におもいっきり何かが当たった衝撃がきたけど痛くなかった、その衝撃のおかげで目が覚めた。


「ぐっいっ痛いー!!」


「あれ?シンシアさんおはようございます……」


シンシアさんは、額を手で抑えて悶絶していた。


どうやら、起き上がった時のゴンという音は私とシンシアさんの額がぶつかった時の音だったみたいだ。


あっ!私って今バリアを張ってるからオリハルコン並に硬いんだ、そんな硬い私の頭突きを喰らったら、シンシアさんの頭蓋骨が大変な事になる!


「シンシアさん大丈夫ですか!いま回復しますね!ヒール!」


私はシンシアさんに回復魔法神聖魔法を掛けた瞬間淡い光がシンシアさんを包み込んだ。


「あれ!?痛くない……あっこれは、りん君が回復してくれたんですね!ありがとうございます!」


「いえいえ、他に痛い所はありませんか?」


「あぁ……また神聖魔法を掛けてもらえたなんて……私はなんて幸せな人間なんだろ……」


あっ!またシンシアさんが変な感じになっちゃったよ。


「シンシアさん落ち着いてくださいってどうしよう、これは……」


うん!しばらく経てば元に戻るだろうから、放置しておくか。


私は仮面を付けて、ついでにクロも回収して、ベッドから出た、そこには朝ごはんを用意しているナユナが居たので、ナユナに挨拶をした。


「ナユナおはよう」


「おはようございます。りんさん、あれ?シンシアさんはどうしたんですか?」


うーん……なんて答えたらいいだろうと考えていたら


「りん君、私を置いてかないでよ」


とシンシアさんが言った、よかった正常に戻ったんだね、シンシアさん。


「いや~何か、シンシアさん一人だけの世界に入ってたので邪魔したら悪いかなって思って」


「だって、りん君たら、私の憧れの神聖魔法を掛けてくれるんだもん。あんな魔法掛けられたら正常じゃいられないわ」


シンシアさんその言い方だとなんか、私が危ない魔法を使ったみたいじゃないですか。


「何があったか、わからないですけど、ちょうど朝食が出来たので朝食を食べませんか」


「そうね。他のパーティはもう出発の準備をしてるし、私達も早く食べて出発しましょうか」


確かに、周りを見たら昨日まであんなに居た人達が、今はほとんどのパーティが地下三階に行ったのか、残ってるのは私達とあとは数える程しか残ってなかった。


「そうだね。早くご飯食べて出発しよう」


そして私達は朝食を急いで食べて、食器やベッドを急いでしまって、地下三階に降りた。




◆◆◆




地下三階も地下二階とあまり代わり映えしない場所だった。


「はぁ、地下三階まで来るのに丸一日かかっちゃたわね。本当は昨日の内に地下四階辺りまで行きたかったんだけどね」


シンシアさんはため息をしながら言った、その後に地図を取り出して地図を確認しながら


「いま地図を確認したんだけど、走って行ければお昼頃には、地下四階に続く大広間まで行けそうだわ……でも」


おぉ!という事は、ついに魔物を狩ってレベル上げができるって事だね。

よし、お昼には大広間まで着きたいから、頑張って走るぞ!


「はい!私頑張って走りますね。ナユナも頑張ろうね!」


「あっはい!頑張ります……」


うん?それにしても何かナユナの様子がおかしいぞ、なんか元気がないっていうか。


「ちょっと待って、りん君、確かに走ればお昼頃に着くって言ったけど、私とナユナさんは魔法使いだから、そんなに身体能力が高くないから、大広間まで走り続けるほどの体力がないのよ」


「すみません。りんさん、シンシアさんの言う通りわたしも大広間まで走れるほど体力の自信がありません」


あぁだから、ナユナさっき元気がなかったんだな。


「だから、ここは早歩きで行きましょう」


「そうだったんですか、ごめんなさい、魔物が狩れると思ったら嬉しくなちゃって先走っちゃいました」


そうだよね、二人とも魔法使いなんだもんね。

私ったらダメだな、目の前の事しか考えてなくって、ちゃんとパーティを組んでるんだから、仲間の事も考えないと行けないのにね、これからは、気をつけよう。


「いいのよ。私も本当は走ってお昼には大広間に着きたかったけど、それをやっちゃうと地下四階に行った時に体力がなくなっちゃって、魔物狩りの時に何も出来なくなっちゃうからね」


ん!?そう言えば私のヒールって怪我はもちろんだけど体力も回復できるじゃん!


「シンシアさん!私の魔法で体力回復ができますよ」


「えっ?!本当!」


「ナユナ、前に回復できたよね」


「はい、確かにマラカイトの時に回復してもらいました」


「そうなの!?そういう事なら、走りましょう!二人とも!」


「「はい!」」


こうして、私達は走ると言う選択をした。




◆◆◆




途中、回復をしながら何とか走って大広間まで来れたけど


「ゼェ……ゼェ……」


「ぜぇーはぁーはぁー……」


大広間に着いた時に安心したのか二人は倒れ込んでしまった、やばい早く回復をしてあげないと。


「二人とも大丈夫……じゃないよね。ヒール」


私は二人に回復魔法(神聖魔法)掛けた、その瞬間淡い光が二人を包み込んだ。


「ありがとうございます。りんさん」


「ありがとう。りんくん、でも何回も掛けてもらってるけど、やっぱり凄いわね。一瞬で体力が回復するなんて」


《りん、シンシアもまともになったね》


そうなのだ、クロが言った通りここに来る間、何度も回復魔法を使ったけど、最初の頃はシンシアさんが変なスイッチが入って大変だったんだよな。

うん、これから魔物を狩ったりするから、先に私の魔法に慣れてもらってよかったよ。

本当に戦闘中に変なスイッチ入ったら大変だからね。


「それじゃあ、お昼を食べたら地下四階に行って魔物を倒しながら下に進みましょう」


「わかりました。それじゃあ、お昼の準備をしますね」


「私も手伝うわ」


相変わらず私は二人がお昼の準備をしてる所を見てるだけだった。

だって、私、料理ってあまりした事がないから、ここで手伝って食材をダメにしたら、大変だもんダンジョンの中だから、それに料理は出来ないけど食器洗いは上手くなったから大丈夫と適当な言い訳を考えながら、ご飯ができるのを待っていた。


「りんさん、ご飯できましたよ」


ナユナとシンシアさんが作ったくれた昼食は昨日残り物のローストビーフとレタスをパンに挟んだ、とってもボリュームのあるサンドイッチだった。

うん!美味しいな……うん!?これなら、手伝えたんじゃないか!と思いつつ昼食が終わったら……


ついにこのダンジョンに来て初めての魔物狩りだな……

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