入学編第十九話 一緒
ラノハがそう言い終えた直後、邪装竜機がいる方の先で爆発が起こった。
あの方向にいたのは、邪装竜機三機と、先生たちが乗る聖装竜機二機、そして、竜機操縦士育成学校の生徒が乗る中距離戦闘型の聖装竜機四機が回り込んで向かっていたはずだ。
竜機が爆発するのは、竜機に乗る竜機操縦士が死んだ時が主な理由である。
爆発は、生徒たちの聖装竜機がいる更に奥であったので、間に合わなかったことをラノハは察した。
そしてラノハは、怒りで歯を食い縛る。
だが、ラノハは怒りで我を忘れることはなかった。
自分が先生の命よりも、ミリアの命を優先したことを分かっているからである。
全てを守ることなどできない。
でも、自分の大切なものは守れるように、失わないように。
そのために、ラノハは聖装竜機に乗っていた。
「……どうやら、竜機操縦士を殺すことに成功したようだな。これで当初の目的は完遂した。後は、お前と二丁拳銃の女のみだ」
「……ミリアは殺らせない。俺が相手だ……!」
ラノハはそう言い、邪装竜機に向かって突っ込む。
そして右手に持つ剣を振るったが、その攻撃はあっさりと盾で防がれ、反撃された。
ラノハはその反撃を、左手に持つ剣で辛うじて防いだが、その後怒涛の連続攻撃がラノハを襲い、防戦一方な状態に陥った。
「……脅威足り得るとは言ったが、それは将来的な話だ。今のお前に敗れるほど、私は弱くない」
「クソがっ……!それでも、負けるわけには……!」
ラノハがそう言った時、横から二本の白い光が邪装竜機に向かって放たれた。
邪装竜機はそれに気づき、瞬時に盾を構えてそれを防いだが、ラノハがその隙に左手に持つ剣を振るった。
しかし、邪装竜機はそれすらも剣で防ぎ、態勢を立て直すべく一度下がる。
ラノハが一息吐くと、一機の聖装竜機がラノハが乗る聖装竜機の隣に飛んできた。
「……離れてろって言ったよな。なんで、なんで来たんだよ……!あいつは、お前を狙ってるんだぞ……!?ミリア!」
「……私も言ったよ」
「……は?」
「ラノハは一人じゃないって、言った。ずっとラノハのそばにいるとも、言った。今も、例外じゃない。私はどんな時でも、ラノハのそばにいる。ラノハを、一人にするようなことはしない。だから、私も一緒に戦うよ。ラノハ」
「っ!……ミリア。……ああ。ありがとう」
「……うん!」
こう言い終わったラノハとミリアは、邪装竜機の方に向き直った。
見ると邪装竜機は、すでに体勢を整え、攻撃の準備をしていた。
「……行くぞ」
「うん。サポートは任せて。ラノハ」
「おう。任せた。ミリア」
ラノハとミリアは頷き合い、ラノハは一直線に邪装竜機の方に、ミリアは邪装竜機の左側の側面へと、それぞれ飛び立った。
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