第350話僕とキャサリンのクリスマスイブ

「キャサリン。ご飯の前に行きたい所があるんです。」

本日はクリスマスイブ。明日の練習を早々に終わらせて定番のデート。


「勿論!」

キャサリンは笑顔を返してくれた。

デートとはちょっと違うかもしれない。でも僕らも準備しないとならないんだ。


車に乗り辿り着いたのは街の王族御用達の仕立て屋。


「えっ?ここって?」

キャサリンが車を降りて僕の顔を見た。


「ごめんね。なかなか時間が取れなくてイブなのに。」

ちょっと申し訳ない。


「ウエディングドレス?よね?」

キャサリンの頬がちょっと赤くなって笑顔。良かったー。怒ってない。


「オーダーメイドだから早く準備しないといけないとは思っていたんだけどね。」

王子の婚礼衣装ってそう変わらないから良いけれど女性はそうは行かない。


予約を入れていたから僕らしかお客さんは居ないし2人でドレスを選べる。

何より警護人は外で待機してる。

僕に取ってはデートなんだけどなあ。キャサリンにとってはそうは思えないかも?と不安だったけれど・・・。


見本のドレスを嬉しそうに選ぶキャサリン・・。めちゃくちゃ可愛い!!


「あの。ジェファーソンはどっちが好き?」

「わー!どちらも似合う!やっぱり裾は長い方が良いのかな?」

兄達より先に結婚してしまうので参考に出来るものが無い。

財閥の結婚式には出た事がある。


やっぱりそれよりも豪華で可愛いドレスかなあ。

「こっちのタイプはどうかな?」

「マーメイドタイプってやつだね。キャサリンに似合いそうだ。」


「迷うわ。」

そう言いつつ笑顔が耐えないキャサリンが可愛過ぎるー!


「あっ。キャサリン、教会の式用と城での披露宴用にドレスは2着選んで下さいね。」

忘れてた。

「2着も?!わー!どうしようー!」

キャサリンは益々バタバタ。


「オーダーメイドになるから気に入ら無い部分は変えてもらえるからね。」

「そうでしたね!オーダーメイドか忘れてたわ!」

キャサリンは庶民の記憶がたまに抜けないのよねと苦笑した。そう言う所も可愛い。


ウエディングドレス・・試着してくれないかなあ。

楽しみは当日まで我慢?


キャサリンは裾がレースで長めのドレスを選んで合わせて見て。

どう?と聞いてきた。


「・・・!可愛い!!」

着てないんだけれど似合う!美しい!


「そんな見詰めたら照れるんだけど・・。ありがとう。」

照れた顔も可愛い。


「じゃあ。結婚式はこれにする!」

「良いと思う!」


「僕はこのドレスに合わせて作って貰って良いですか?」

仕立て屋にお願いする。


披露宴か・・・どうしようとキャサリンは第2弾を選び出した。


「披露宴は結構、動くわよね?」

「そうだね。各国の王族へご挨拶はして回るかな。」

それなら裾は結婚式より短い方が良いわね。とキャサリンは最初に聞いてきたマーメイドラインの綺麗なドレスを選んだ。


やっぱり気に入っていたんだな。

「それ。僕も似合うと思ってた。」

「ありがと。」

ちょっと大人っぽくてキャサリンのスタイルの良さが出そう。

って想像してしまった。恥ずかしい。


その後は採寸。

ドレスの出来上がりは1~2ヶ月後になりそうだ。

ドレスに合わせたベールに靴に、僕の婚礼衣装も白ベースのタキシード。

抜かりはないな。


「じゃ、軽くご飯行こうか?」

お腹空かせちゃって申し訳ない。

キャサリンが笑顔で頷く。


今年も個室のあるレストランにした。

「ウエディングドレス。凄く楽しみ!」

キャサリンが照れた顔で微笑む。


「僕も!早く着たキャサリンを見たいな。」

想像するだけで可愛すぎるキャサリンが目に浮かぶ。


もうアルコールは飲めるんだけどノンアルコールシャンパンで乾杯。

飲みすぎると僕は・・誕生日にやってしまったもんなあ。


「ジェファーソンは特注のタキシードじゃないの?あまり選んで無かったけれど。」


「王族ってある程度規格があるんだよね。僕もルイス達みたいに自由な衣装に憧れはするんだけれど。」

父上達の結婚式の衣装とあまり変わらない感じになりそうだし。


「そうよね。財閥でも着物はびっくりされる思うんだけど。ちょっとそれをやってしまうルイスとルナリーが羨ましいわ。」

キャサリンも着物が良かったのかな?


「ごめんね。キャサリンも白無垢が良かったよね?」

そう言うとキャサリンは首を横に振る。

「私はずっとウエディングドレスに憧れていたの!」

「本当に?」

うんうん!と笑顔で微笑む。


「良かった。安心した。」


僕はキャサリンを好きだと思った時からずっと、ウエディングドレス姿のキャサリンを早く見たかったんだ。

結婚してずっと一緒に暮らす。

楽しいだろうな。


「ジェファーソン?どうしたの?」

「あっ。ごめん!ちょっとキャサリンのドレス姿を想像してた。」


「もう!恥ずかしい。」

照れるキャサリンと僕。

何時まで経ってもキャサリンが可愛くて照れる。

7歳から婚約してるのに。


「ジェファーソン!クリスマスプレゼントがあるの。悩みまくりだったわ。」

「僕も。凄く悩みました。」

お互い悩みまくりのクリスマスプレゼント。


僕は今までキャサリンから凄く心に残るプレゼントばかり貰っている。

なかなか僕は発想が乏しい。


「可愛い!ピンキーリング?」


「赤い糸・・・。そんなイメージで。」

ピンクゴールドでルビーは台座無しであまり目立たない感じにして。

「お揃い・・・。」

ちょっと恥ずかしいけど同じもの作ってもらいました。


「可愛い!!」

キャサリンが早速嵌めてくれて顔が照れて赤い。そして満面の笑みを見せる。

「ごめんなさい。何か赤い糸って発想が素敵すぎて嬉しくて。」

赤くなったキャサリンが可愛すぎる。思わず抱き締めてしまった。


「ありがとう。ジェファーソン。」

うん。今年は成功した!!


キャサリンからのプレゼントはセーターとマフラーとニット帽!!

全部、手編み!!!

「嬉しすぎるぅぅぅ!!」

個室だからってこんなに大声あげちゃダメだけど!

やっぱり僕のキャサリンは凄い。

僕の心をこんなにも幸せにしてくれる。


「ありがとう。」

「うん。頑張ってみた。」

小声で照れるキャサリンにキスをする。


独身最後のクリスマスイブ。来年は城でキャサリンとずっと1日過ごしたい。

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