第287話早めに宿題を終わらせる(写すとも言う)

お願いします!!


朝から大司教さんから電話。


「確かに夏休みの宿題が終わらないタイプの私への呼び掛けは正解ですよねぇ。」


「引き受けてくれるのってケビン君かルナリーさんくらいかなあと思いまして。」


会長は忙しそうだし。他の皆は嫌がりそう。メリットがあるのって結局、私だけだ。


「了解です。引き受けまーす。」




「まあ、いいんじゃねーの?俺は宿題終わりそうだし。」


ルイスが笑いながら送り出してくれた。




教会へ行くと大司教さんが嬉しそうに迎えてくれた。


「おはようございます。」


「おはよう・・・ございます。」




パトリックの音楽の宿題をやる事になりましたー!


見返りは私の宿題。有難いんだけどね。


大司教さんは邪魔しちゃ悪いからと客間へ入っていかれた。


私達は教会の机でいざ!宿題交換タイム!




「1年の音楽の宿題ってそんな難しくないだろ?」


いや、まあ人の事言えないくらい宿題手付かずなんだけど。




「姉様と同じ学校に行きたくてアリアに入ったから・・。」


パトリックはそう言っておずおずと音楽の手付かずの宿題を出してきた。


学院に入った動機がキャサリンと似た様なものか。


字が違うとバレては行けないのでノートに書き出すとして。




「では、数学お願いします。」


前世、東大生は楽勝でしょう。




「3年でもこの程度か。楽勝だ。」


くそー!一言多いが早い!


こっちも負けてられない。




「主旋律から混声4部へか。」


こっちも楽勝だ。




「ピアノも使わずにやれるんですね。」


「音が頭に入ってるし。見たら解るよ。」


サラサラと楽譜書き。長い曲でも無いし終了。




「はい。数学終わりましたよ。」


「おー!すげー!流石だな。」


では、社会も。。と出す。




「地理か。まあ。多分大丈夫。」




こちらも楽譜起こし。知ってる曲だから聞かなくてもいける。




「え?覚えているの?」


「いや、お前こそ良く教科書見ずに覚えてるな。」


お互い様だろ?と顔を見合わせる。




「これでも音楽だけは学年1位なんだよ。」


頭脳の大半は音楽に持っていかれている。




次は独唱か。こいつも声楽科だったな。これは自主練あるのみだ。


あー。理科もお願いしたいなあ。




「なあ?独唱教えるから理科も?ダメか?」


パトリックは得意だから良いですよと引き受けてくれた。




「理系は得意なんですよね。出来れば物理とかが良いんですが。」


と言いつつ私の生物を解いてくれる。




1時間ちょっとで3年生の宿題を終わらせやがった。やっぱり頭の違いだな。




「独唱は何にするんだ?」


「うーん?あまり曲を知らなくて。」




「良くそれでアリア学院受かったなあ?」


「直前に丸暗記と裏金。暗記した奴はもう忘れた。」


とサラッと答えた。裏金ってどっかの誰かさんと丸かぶり。


会長が言ってた話では寄付金での優遇って本当に才能なかったら入学は許可されないそうだから。本人達に負い目があるだけの事なんだろう。




「丸暗記か。すげーなあ。パートは?」


羨ましい脳ミソだ。


「バリトン。」


まあ、そうだろうな。




「取り敢えず発声してみるか。どんな声か聞きたい。」


ピアノへ向かう。


「ほら!さっさと来い!!」


全く困った奴だ。




「ドレミファソファミレド。1音ずつ上げるから。はい!」


アアアアアアアアアー!




「喉閉まってる。もっと腹筋使え。」


アアアアアアアアアー!




「うーん。音域あんまし広くないな。」


そう言うとモジモジとして項垂れる。


ピアノ科とかにすれば良かったのに。姉と同じ科が良かったのか?


ちょっと落ち込むパトリックだが声質だけは良い。姉も上手かったしそこは似てる。




「ちょっとプリント見せてくれ。」


記憶では・・・・。うん。楽譜を提出すれば合唱曲でも女性のアリアの編曲でも問題ない。という事はオリジナルもいけるなあ。




ニヤっと笑いながらパトリックに


「ちょっと今から前奏を弾くから歌ってみろ!楽譜は後で書いてやる。」




「え?いや、本当に知ってる曲が少ないんですよ。」


狼狽えるパトリックに大丈夫だってーと言いながらピアノへ向かう。


えーと。出だしは本当はトランペットが欲しい所なのだが。




パンパカパーンパパパッパパーン!


ピアノで前奏を弾く。




懐かしーい。前奏が鳴った途端パトリックも解ったらしくかなりびっくりしていたが




歌えてるじゃーん!!


上手い上手い!


やはり覚えていたか。


パトリックの歌声が聞こえたのか大司教さんも客間から出てきた。




「懐かしーい!宇宙戦艦ヤマトですね!」


大司教さんも歌い終わったパトリックもクスクスと笑っている。




「え?でも大丈夫かな?言葉は?日本語?」


「こら!此処ではプラゲ語だろ。」


パトリックはあっと言う顔をして頷いた。そこの所は大司教さんがきちんと説明はしてくれている。




「プラゲ語で歌って大丈夫だよ。楽譜には作詞作曲ルナリー・マッケンジーって書いとくから。教師もこれ見たら煩く言えない。」


何だかんだでコンクール金賞取ってるからねぇ。


大司教さんは話している横でヤマトを御機嫌で歌っている。




「しかし、良く思いつきましたね。パトリックの声にあってる。」


大司教さんが感心する。


「練習しなくてもこれなら歌えるだろ?」


パトリックはうんうん!と大きく頷いた。


「夏休みの宿題終わったー!!」


後は写すだけー!




これぞ会長の言ってたWIN WINの関係と言う奴だな。




「来年は金を取るぞ。」


そう言うとパトリックは笑いながら頷いた。




「あっ。あの。明日、レッスンルームに行きます。」


パトリックがボソッと呟いた。




「ん?まあ良いけど。」


大司教さんはまだ内容は秘密です。と言ってパトリックと2人でニヤニヤと。こりゃ何か面白そうだな。まー楽しみにしておこう。


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