第258話パルドデア城にて

今後の展開としては専門家を連れて来てとなりそうだ。


設備機械やラジオ本体の輸入はグレンさんが見積もりを依頼し交渉すると言っている。


交渉は明日の午前中。






ラジオ局視察は終了したがグレンさんの要望で街の電気屋へラジオの販売の様子等を見に行く事になった。


首都で1番大きな電器店。まだ家電が発達していないので規模はうちの国もだがそれ程大きくない。




基本的に庶民には手が出ない物ばかりなのだ。




ラジオは高級品らしく店の1番奥に展示されていた。




「売れてますか?」


グレンさんは店主に売れ行き状況を確認している。


「上流階級の皆様にはそこそこですね。ステータス様になってきています。車と同じですよ。1家庭に売れると他の家庭もそれを知ると羨ましくなる。」


店主の話に聞き入るグレンさんと王子。




「どういった宣伝はしましたか?」


店主は新聞広告や教会で実際にラジオ放送をしてみたと言う。


実演販売か。それは確かに良いかも。




電気屋店主にお礼を言って店を出る。


「パルドデアの家電って良いですね。」


王子は他の家電を見てそう言っていた。


改めて国の大きさと人口の多さは技術者を生むのかとも思う。


うちの国は音楽家が多いけれど発明したりする技術者は少ない。




「確かに技術者は多いのですが我が国は芸術家が少ないですからね。ボードウェン国の様な素晴らしい楽団もオペラ歌手もいません。一長一短ですよ。」


デイビス王子は苦笑していた。




再びバスに乗りパルドデア城へ向かう事になった。


座席に座る時、すみませんちょっと話がと小声で王子に話して後ろの座席へ行く様に目配せしていた。


そしてデイビス王子はそっと王子の横に座って来た。


「すみません。警護人にも聞かれたくないので。」


ちなみに王子達の前にルイスと私。隣にキャサリンとエミリア、後ろに会長とカインと囲む様な感じ。




「普段は次男が外交を行っているんですが・・ちょっと評判が悪いんです。態度が横柄と言うか。」


デイビス王子は言いにくそうに頭を掻く。




「次男の私設兵や側近もそんな感じでして。」


大きく溜息をついて俯いてしまった。




「もしかしてプラゲ国へ行かれたのってお兄様ですか?」


王子が尋ねるとデイビス王子は頷いた。


「何か聞きました?」


そう尋ね返されて王子は少しと誤魔化していた。




「大変申し訳ないのですが我慢して頂けたら助かります。」


デイビス王子にそう言われ王子は


「だそうです。ルイスにルナリー!」


と言ってきた。了解です。。




パルドデア城。


某テーマパークのシンデレラ城みたいだ。凄く綺麗!


外観が可愛い!




「素敵ー!」


キャサリンもエミリアも城の外観に釘付け。




そして城内へ。中の内装もファンタジー。私達は城の内装に思わず見入ってしまう。


「えーと先代の王妃、お祖母様の趣味でして。」


デイビス王子は笑いながら客間まで案内してくれた。




客間は普通だ。ちょっと残念。


用意された長机へ並んで座る。




使用人達が珈琲とお茶菓子を運んで来てくれ一息つく。




少しした所で王と王子2人が客間へ入って来た。


パルドデア国王は初老と言ったお年の感じ。第1王子と思しき男性は30代半ば、茶髪に薄い茶色の瞳の端正な顔立ちの方。第2王子だろう。焦げ茶色の髪に茶色の瞳のキツそうな顔立ち・・。性格が現れている気がする。


ちなみにデイビス王子は栗毛の整った顔立ちで、長男と三男は似ている。これは弄れパターンかもしれない。




「ようこそいらっしゃいました。国王のニコラス・パルドデアです。」


王子と握手を交わしハグをする。


「第1王子のアンドレ・パルドデアです。よろしくお願いします。」


アンドレ王子も笑顔で握手。


「・・第2王子のアルマーニだ。よろしく。」


少し蔑んだ様な目付きで王子と握手。




なるほど。私達も頭を下げ御挨拶。


文化の違いだこの国は握手とハグの国。その辺は致し方ない。




王子以外は特に話す事もなく眺めていたが王とアンドレ王子は愛想が良い。


珈琲を飲み終わった頃に


「晩餐会まで部屋でゆっくり休まれて下さい。」


そう言われ寝室へ案内される事になった。




王子はVIPルームに1人通され、残り男性陣は2部屋に分かれる事になった。女性3人は仲良く同じ。


普通に当然だけど私達はやはりオマケ扱いだ。




ルイスとグレンさん、会長が同部屋へ。クライス、カイン、ジョージと分かれたようだ。




「うーん。デイビス王子の言う通りって感じね!」


「ちょっとアルマーニ王子は愛想悪かったなー。」


「1泊ですし我慢しましょ!」


私達はそれぞれのベッドに腰掛けた。




「晩餐会かー。光国さん達が言ってたように肉料理ばかりなのかしらね?」


「まー。良いんじゃねーかー?」


面倒だけど着替え開始。もしもの時の為にドレス持参して良かった。


後は何事も無く美味い飯である事を願おう。

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