第252話遂にあれが建設されました

ダンス開始。エスコートするクライスの手がギュッと僕の手を握った。


密着がこの前より近い。顔はもう真横だし頬が触れそうな距離。


恥ずかしい。


この恋する乙女の様なドキドキは本当に久しぶりの感覚。




「クライス、密着し過ぎだぞ。」


小声で軽く注意する。


「えー?これくらいファンサービスでしょ?」


イタズラっ子の様に微笑むクライス。


くっそー!ムカつくのでクライスの耳にフーっと息を吹きかけてやった。思った通り顔を赤くしてゾクゾクと反応するクライス。




「ぷッ。サービスだ。」


そう言うと悔しそうに睨む。可愛いなあ。




ダンスが終わり満足したようなクライスの笑顔。


癒される。








そして、パーティーが終わり客間に案内された。




「終わったー!!」


背伸びして脱力するクライス。




「お疲れ様!」


皆で労う。無事に終わって良かった。




使用人が紅茶とクッキーを運んで来た。ルナリーとルイスはしっかり食べていたが後のメンバーは控え目にしか食べていない。


甘い物が嬉しい。




「あっ。会長!電波塔が首都だけは完成。」


ジェファーソンが嬉しそうに言った。


やった!これでラジオ放送が出来る様になる。




後はラジオ局を作って、ノネット・クライムで放送したい。もっと売れる様になるだろう。


あー!ラジオ本体を販売しないと!取り敢えず首都、行く行くは全国放送。ラジオのパーソナリティってやってみたかったんだよねー!


「そうだ。ラジオ本体って?輸入?」


「そうなるね。」


ジェファーソンは勿論、我が国でも造れる様にしますよと言った。




「家電か。家電製品を扱っている財閥って誰の所かな?」


輸入の手配をお願いしないと交渉上手く行くと良いが。




「それ俺の所。」


ルイスが笑顔で手を上げた。




「そりゃラッキー!」


説明する手間も省けたしルイスの親の説得は彼に任せて。


後はラジオ局。


待て、知りすぎているのも問題か。ジェファーソンは多分、まだ何も解っていなさそうだ。




「えーと?システム解らないよね?どうやって流すとか。」


ルナリーとルイスとキャサリンには目配せ。


うんうん。ジェファーソンもクライスも大きく頷く。




「パルドデア国に行ってみないとなあ。」


興味本位で電波塔立てちゃうって言う行動力・・。


全く面白い王子様だよ。




「皆で行こうよ!後、ルイスのお父さんと。」


クライスが是非どんな事をするか知りたい!と言う。




「そうだな。輸入に関しては親父連れていかねーと。」




この時代のラジオ局ってどんな感じなんだろう。勿論、機器も必要だし。専門家も連れて行くべきか。後から送り込むか。




「僕らとルイスのお父さんだけで先ずは行きますか。」


ジェファーソンは必要な人員はその場で考えて後程送り込む案が良いと言ったのでそれで行こう。




楽しみになってきた。




「会長、嬉しそうだね?」


クライスが笑顔で聞いてくる。




「新しい事って楽しそうじゃないか?」




「うん。何か良く解ってないけど楽しそう!」


クライスやジェファーソンも嬉しそうだし。後はジェファーソンの行動力だな。


即行く事になりそうだが。




「じゃ、ぼちぼち解散しようか!」


もう直ぐ18時。長居してしまったな。




「また、明日!今日はお疲れ様!」


「こちらこそ本当にありがとう。特に会長。ありがとう!」




クライスに玄関まで見送って貰って解散した。




うん。本当にクライス可愛かった。満足。迎えの車に乗り込み帰宅。






・・・・・・・・・・・・・・・・




皆を見送る。無事に終わって良かった。




本当に何故こんなに御令嬢苦手になってしまったんだろなあ。




耳を触る。




会長に息を吹きかけられた。




ゾクゾクして本当にやばかった!!もう!会長なんて事するんだよ。




僕、耳ダメだったんだな・・・。知らなかった。




やっぱり会長の方が上手うわてだ。とっくに大人の階段登ってるのかもしれない。




ちょっと、悔しい。

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