第240話ゲネプロ

本日はゲネプロ。


国立ジョセフィーヌ音楽ホールは王都の西側にある。国立ボードウェン音楽ホールが城の東側なので調度逆方向に15年程前に建てられた。市民ホールとボードウェン音楽ホールの中間的な収容人数。


相変わらず音楽ホールだけは現代的だなあ。入口は正面玄関と右手の2箇所。


「おお!凄い!」


ホールに入るとロビーが広く取ってありチケット販売カウンターもロビーに作ってあった。右手側入口に待合スペースが作ってあり正面玄関入ってのスペースには何も無い。ここは立って待つ感じなんだなあ。




そして広い階段がドーンと目の前にあった。10人?15人?くらい並んでも余裕のある横幅。


「大ホールは階段を上がった所にあるから。」


階段の広さに驚いていると会長が笑いながら肩を叩いてきた。


「本当に音楽ホールだけは現代的だよね。」


会長はボソリと呟いた。やはりそう思ってたか。


2階席に上がる階段では無かった様だ。1階奥にある扉は中ホールらしい。




階段を上がるとまたロビーがあった。このロビーもまた広いな。


ちゃんとトイレも近くに作ってあるし本当に現代的。


大ホールの扉は豪華な作りで3箇所作ってあった。


「初めて来ました。良いですねー!」


「お洒落だわ。」


カインもキャサリンも感心している。


「ここの階段登った所両サイドにチケット受け取り場所を作るから。」


なるほど。


「そして、この広いロビーが勿体ないのでレコード販売をします!」


物販販売か!考えたなあ。流石、会長。


皆、関心しながら控え室に会長が案内する。今回は使用人やメイド達もしっかり手配している。




控え室も広くテーブルと椅子にピアノも置いてあり化粧台まであった。


「流石、王妃の名前が付いたホールだね。」


クライスが王子にニヤっと笑いかける。


「細部に拘ったらしいですからねえ。」


王子も何か嬉しそう。




控え室に荷物を置き舞台へ向かう。


本日も午後から大司教さん、スミスさんと国立管弦楽団の数名を御招待した。


それまでに設置や確認っと。




「おお!舞台が広くて綺麗・・・・だけじゃ無い!」


舞台から客席を見て市民ホールと比べてしまう。


「客席多いね。」


「うん。管弦楽団との合同コンサートの時はボードウェン音楽ホールだったからもっと広かったんだけど。あの時はあんまり実感無かったから。」


ボードウェン音楽ホールより狭いけれど自分達だけでやるとなると本当に大丈夫か?と不安になる広さだ。




「これが1500席の規模か。ドキドキしますね!」


「うん。楽しみだ。」




ほら、感動してないで準備するよ!と会長に言われマイクや音響の確認に入る。




使用人達もすっかり音響や照明に慣れて今回の準備はとてもスムーズだった。




午後になりゲネプロスタート。


「今回も御招待ありがとうございます。」


大司教さんもスミスさん達も嬉しそうに席についた。勿論、ブルーさんも来ていてエミリアが嬉しそう。




今日は初日予定でJupiterスタート。


客席の照明を薄暗くし今回は舞台も暗いまま私達は舞台へ上がってスタンバイ。


舞台照明が少しずつ明るくなるとキャサリンが歌い始める。




大司教さんとスミスさんは結構冷静に見ているけれど管弦楽団員達はもう登場で拍手している。やはりノネット好きな方が居てくれて嬉しい。




順調に曲は進み大司教さんもスミスさんもノリ良くなってきた。




そしてドキドキ!キャサリンの個人曲タイム。


キャサリンはめっちゃ緊張している様だ。


「次は私のソロ曲です。プラゲ語で歌うので解らないかもしれないですけど聞いて下さい!千本桜!」


一呼吸しキャサリンの三線の早弾きが始まる。


おお凄い!と言う反応が伺えた。


大司教さんはボカロは自分が生きてた頃は余り無かった気がすると言っていたなあ。


初ボカロを堪能している。


歌い終わるとめっちゃ拍手されていた。




王子のMissingも凄く感動されていたし。




そして仮面舞踏会は楽団員の女性奏者達をメロメロにしていた。




そして、皇太子に聞いて貰いたい曲。


世界に一つだけの花、We are the world。




楽団員達もやはり泣くのね。スミスさんまで。何か嬉しい。




一応終了。




「素晴らしい!感動したよ!」


「良いですねー!本当に選曲が最高です!!」


スミスさんと大司教さんが感想をくれる。




楽団員達はキャサリンの三線を本当に凄いと褒めていた。


「世界に一つだけの花って曲感動しました!」


「私は愛は勝つかなー?」


「仮面舞踏会がカッコよかった!」


口々に感想が止まらない。




「すみません、あと2曲、アンコール曲も良いですか?」


感想を中断して申し訳無いがこれも練習だし。


大司教さん達は勿論、こちらこそすみませんと言って席に戻ってくれた。


島唄披露。やはり、ウケが良い。




そしてmy heart will go on




スミスさんがこの曲をそう纏めましたかと感心した様な顔で頷いている。


横の大司教さんは号泣中。私もそのタイタニックって映画見てみたいよ。




本当の終了。拍手喝采を貰えた。




「凄いです!ラストの曲、めちゃくちゃ綺麗でした!」


楽団員達が褒めまくる。


スミスさんも良い編曲とハモリだったとしみじみと頷く。


そして大司教さんは泣いてるっと。




「今回は更に良くなりましたね。」


「本当に良かったです。」




「エミリア。ラストの演奏凄く良かったよ。」


ブルーさんが個人的にエミリアを褒めていてエミリアも嬉しそうだし幸せそう。




「あぁ。泣きまくりですみません。ジェファーソン様。今回の件本当にすみませんでした。」


大司教さんが鼻をすすりながら王子に謝ると王子も大丈夫ですよ!と笑顔で返していた。




「コンサートは良いんですけどねー。その夜、城へ来るんですよ。」


それだけがね・・・・。と遠い目をした。


やはり城へ寄らない訳には行かない様で皇太子は城へ泊まるらしい。


「俺達も泊まろうぜ!」


ルイスがそう言うと王子がパッと笑顔になり


「良いですか?助かる!!」


とテンションが上がる。


「勿論、皆で居れば怖くない!」


クライスも頷く。




そしてきちんと話合いをさせたいな。


明日。本番。

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