第222話ジャケット撮影とレコーディング
そして本日はドキドキジャケット撮影とレコーディング!
写真撮影って今世に生まれてあまり経験が無い。
そう、まだカメラがを一般人が撮る事は殆ど無く写真家が撮影するのが普通。
勿論、白黒だしね。
いつもの衣装で撮影すると卒業アルバムの様に見えそうだし全員顔が堅い。写真に慣れていないので自然に笑えない。
「ジャケットの表と裏、両方に写真って載せられないですかね?」
会長がレコード会社の方にコンセプトを伝えている。
限定版はやはり豪華にしたい。
ちょっとお値段がかかるようだが儲けが1枚当たり800円程度になるならOKとの事だ。
現像して貰い皆、自分の顔に笑いが込み上げる。
「うわー。皆、全然笑ってない。」
「この写真のルイス怖いって!睨みすぎ!」
表はノネット・クライムのロゴとタイトルと全員の集合写真。ほぼ真顔な9人。何度か撮影してこれでも1番まともな写真。
裏は曲目とクライス、カイン、ジョージ、会長の女性ウケ4人のアップ仲良し写真に決まった。こちらはくっ付いて写真撮影をした照れからか良い笑顔が出ていた。
今まで見てきたクラシックのレコードに比べると絶対新鮮でウケるだろう。
続いてレコーディング。流石に一気にやる時間は無かったので土日の2日間に分けて行った。
曲目はコンサートの時のアンケートやミサコンサートでのウケを考えて選んだ。
宇宙のファンタジー、Jupiter、島唄、浪漫飛行、Your song、ひとり、乾杯、We are the worldの8曲。
ピアノ以外の楽器は無いため全て持ち込み。
録音技術は会長に言わせたら何だこの録音技術?と言うレベルらしい。
私とルイスはカセットテープに録音する時代の人なのでこんなもんじゃないのかな?と思ったけれど。
「何か自分の声聞くの初めてでこんな声?」
確かに何かめちゃくちゃ恥ずかしい。
お互いの声は直ぐに解る。だが自分の声だけは違和感あるんだよね。
「想像より低い。こんな重低音だったのか。」
カインがしみじみと自分の声を評価している。
「話し声はそうでも無いけど歌うと低い所まで良く出てるもんなあ。」
だよねー。と笑い合う。
私の声も高いな。そりゃソプラノだしな。
2日間のレコーディングが終わりレコード会社社長さんや社員さん達にお礼のご挨拶。
「皆さん素晴らしい歌ですね!大司教様には聞いていましたが本当に新しい音楽で感動です!このレコード買いますよ!」
録音に携わった人やレコード会社の社長さんがこれは売れますよ!!と熱く語ってくれた。
売れるかな?とちょっと期待。嬉しい限りだ。
後は試作品レコードとジャケットが完成を待つのみ!
予約完了時点で発注を決めると話はついている。
通常販売のジャケットのデザインもルイスがロゴを書いてくれて完全にクラシックから逸脱した感じになりそうだ。
「後はー!予約が沢山取れますように!!」
レコード会社を出てクライスが伸びをしながら叫ぶ。
「結構、疲れましたね。演奏も歌も完璧なのを録音するって案外精神力を使いました。」
王子は疲れたと言いつつ達成感で嬉しそう。
「王子?今日はどうする?」
キャサリンとデートかな?
「今日はもうひと仕事あるんです。パルドデアでラジオ?って機械が発明されて何か凄いらしいんですよ。で、大使館に行く予定です。」
「ラジオー???!!」
会長が思わず大声を上げて自分で口を塞いでいた。
「会長知ってるんですか?」
王子はまだラジオが何か解っておらず意味不明だけど話を聞きに行くそうだ。
「あっ。うん。パルドデアの取引先でラジオの噂を聞いたって社員が話してた。」
会長は苦笑いで誤魔化した。
「あー。なるほど。何か電波?がどうとか言ってたんですよね。イメージは電話みたいに遠くの相手へ話が聞こえる?」
王子は首を捻りながら想像がつかないんだよねー。と言っている。
ついに時代が進んだか!ラジオ放送!
「じゃ、僕はパルドデア大使館に行ってきますね!」
王子は面白い話だと良いなあと言いながら車に乗って行った。
「ねえ。会長、全然意味がわからなかったけど?ラジオって何?」
クライスが興味深そうに聞いてきている。
「うーん?何かねー。機械から音や声が出るらしいよ。レコードとかでは無くてね。」
会長も解らないフリの説明は難しそう。
「新しい機械なんだ?」
そりゃ面白そうだねとカインも興味津々。
「音が出る機械って事はレコードが進化するのかしら?」
それは違うのだがエミリアの意見を否定出来ない。知らんぷりってきついな。
王子の事だから面白い話だったら輸入されるだろうねー。と気楽な話でラジオの話は終わり本日は解散となった。
まあ、確実に輸入されるだろうな。今年は電波塔建設ラッシュになりそうだ。
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