第208話ただ、さぼりたいだけ。

朝から2人はボードウェン国を出発される。


「楽しかったからまた来るぞ!」


「本当に良い国交調印でした。また来ます!」


光国さんと夏目さんが名残惜しそうに飛行船に乗り込まれた。




「凄く楽しそうでしたね。光国さん達も同じ年くらいの友達欲しかったのかな。」


王子が呟いていた。


多分、そうだろうなあ。本来は偉い方々だもんな。




2人の乗った飛行船を見送って帰ろうかと言う所だった。




「あのー。大変申し訳無いんですが。」


王子が皆に声をかけた。


「明後日なんです。」


「ん?どうした?ジェファーソン。」


会長が首を傾げる。




「ミサコンサート。。日にち間違えてました、、。」


王子が気まずそうにごめん!!!と頭を下げる。




珍しい事もあるもんだ。


「じゃー。今日は久しぶりに練習するかー!先ずは、学校行かなきゃ。」


私がそう言うと




「そうだ!公的にサボってましたね!」


今日はまだ金曜日だったのを皆してすっかり忘れていたようだ。もう授業も始まる時間だよー。




「歌の練習は良いけど授業面倒ですね。」


「遅刻ですし。」


この空気はサボろうと言う空気だ。。




「曲をWe are the worldにしたら楽器が要らないな。」


会長がポツリと呟く。


皆は顔を見合わせてレッスンルームに行かなくても練習出来るな。と言うノリになっていく。




要は単純にサボりたいのだ。


「何処かサボっても煩くない家で練習出来ませんか?」


王子の城は使えない様だ。




皆ちょっと躊躇している。ツッコミを入れられると何処の家もそこそこ面倒。


ちなみにうちは誤魔化せるが狭すぎる。




「あー。教会は?」




「そうですね!ゲネプロって事で。」


大司教さんは何も言わないだろうし。




問題解決ー!と言う訳でバスで教会へ向かう事にした。




「何か今日は休みたい気分だったんですよね。」


「そうそう。結構、疲れている!」


口々に言い訳をしながら教会へ。




教会は礼拝する人もいるが広いので使用出来る部屋はある。




「おや?皆さんお揃いで。サボりですか?」


大司教さんが笑いながら迎えてくれた。


全然、気にしませんよ。練習に使って下さい。とまだ使った事がない2階の部屋に案内された。




「その代わり練習見ていいですか?」


フフっと大司教さんは微笑む。


「勿論ですよ。先程まで夏目様と光国殿が国交調印にいらしてたんですよ。」


王子がそう言うといよいよ国交開始ですか!と喜んでいた。




教会の2階の部屋は広いが使われて居ない様でピアノだけ置いてあった。




楽譜は何時も持ち歩いているので歌の練習開始はスムーズ。


We are the worldは全員ソロパートありだ。


そう言う歌だし。




大司教さんも勿論知っている曲なので嬉しそうに聞いている。




「良い曲ですねー!各人の声の良さが出ています!無伴奏なのがちょっと寂しかな。」


大司教さんが感想を述べる。




「1人、弾き語りにしよっか。」


確かに伴奏があった方が盛り上がる。


「たまには僕がピアノ弾きますよ!」


ジョージが手を上げる。




「あぁ。ジョージってピアノ科だよね。」


クライスがすっかり弦楽器科なイメージと笑っている。




「ピアノもチェロもお任せあれ!」


ジョージがピアノへ向かう。




ジョージのピアノは優しい。性格が現れる様な感じだ。平和を願う歌としては適役だったかも。




ピアノに合わせて歌うとまた良さが引き出される。




「完璧じゃないですか!!凄いなあ。」


大司教さんが感動している。




「明後日はこれで行くか。思ったより早く纏まったね。」


でも、学校には行かないよーという雰囲気。


次は何か別の練習しましょうかと皆、言い出した。




「クリスマスミサはどうしますか?もうクリスマスらしい曲でなくても良いと思いますよ。」


大司教さんは2曲は歌って下さいね。と微笑まれる。




「クリスマスかぁ。1年早いよね。」


「クリスマスらしくないか。でもちょっと拘りたい!」


会長が悩みだした。きっとクリスマスソングを思い出しているんだろう。




「そうそう。新しい楽器を作ったんですよ。」


大司教さんが不敵な笑みを浮かべた。




「え?大司教様が作られたんですか?」


王子が驚いた顔をしているが興味で目がキラっと光った気がした。


「いや、プラゲ国の三味線や琵琶とヴァイオリンやチェロの混合見たいな楽器を思い付いたので。職人に作らせました!見たいでしょ?」




見たい!!!皆が一斉に叫ぶ。




大司教さんがちょっと待ってて下さいと言って持ってきた楽器は紛れもなくアコースティック・ギターだった。




「これは!!確かに中間的な感じの見た目ですね!」


王子が本当にワクワクしながら早く弾いて下さいと言った。




大司教さんは笑いながら座って足を組む。


多趣味な人だなあ、ギター弾けたんだな。




この音色、良い!懐かしい!




「わー!!!凄い凄い!大司教様!」


ジョージも食い入る様に近付いて聞いている。




「で、どうですか?試作品なんですけど。使って見ます?」


大司教さんがそう言うと皆、大きく頷いた。勿論です!!




「これは私のなので発注しますね。」


「僕も欲しいです!」


「俺も!!」


ジョージもルイスも欲しがるので3本発注をお願い。


その後は大司教さんのギター講習会となった。




「良い曲出来そうだなあ。」


会長が嬉しそうに微笑んでいた

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