第127話プラゲ語(日本語)の冊子

そのまま帰宅しようと思ったが会長に誘われたのでルイスと2人で会長宅へ行く事にした。




会長の部屋に通されてソファへ腰掛ける。


会長はメイドさんからお茶と軽食を受け取りテーブルに置いてくれた。


「ごめんねー。デートの邪魔しちゃって。」


会長は笑いながら食べなよと勧めてくれた。




「いや、全然予定してなかったっすよ。」


ルイスは笑顔でお茶を飲む。


「うんうん。いただきまーす!」


私もパンに手を伸ばす。




「これからプラゲ語の勉強に入るからさ。軽く口止めをしようかと思ってね。」


会長もお茶を啜りながらそう言った。


口止め?


「多分、皆は文法で躓くと思うんだよねー。」


ボードウェン語も英語も文法は同じ系統。プラゲ語こと日本語は。


「あー。名詞と動詞の位置関係ですか?」


そう言えば前世で英語勉強した時に逆に意味が解らなかった部分だ。


会長はそうそうと頷いた。


「少しは解らないフリをしてね。」


確かに調子に乗りそうな私達。


「後!!習ってもいないタメ口に気をつけて。」


難題だ。1番ポロリしそうなのは私だ。




じゃ早速プラゲ語の冊子見てみよ。




おはよう。こんにちは。こんばんは。さようなら。ありがとう。ごめんなさい。




等の挨拶の説明から書いてあった。






「あー。これは日本語あるあるだ。」




説明には


一人称:拙者、某、我、私、自分、俺、僕、妾、儂、あちき、あたい、わたし、あっし




その他、地方に寄っては他にも多数存在する。全て自分自身を現す言葉である。基本的に私で全ての人に通じる。






「これ、難しいだろうねー。」


会長がうわーと言った顔をした。


「確かに。理解出来るか心配。」




勿論、二人称もだ。




二人称:貴方、そなた、お前、貴様、主、そち、あんた、上、殿、貴殿、貴公、君、うぬ。




その他。語尾に様、若しくは語頭に御を付ける場合もある。地方に寄っては他の言葉も多数存在する。基本的にはあなた若しくは名前(苗字)で呼ぶのが良い。




「これだけで1ページ使ってあるな。」


発音と説明がいっぱいだ。




「現代ならまだ良いんだろうけど武士言葉が混ざってるから面倒くさそうだねー。」






挨拶自己紹介の例文


「お初にお目にかかる。拙者は田中左衛門と申す。」




翻訳


「初めまして。私は左衛門・田中です。」




ぶはっ!!例文と翻訳で思わず吹いてしまった。


笑えるよなあとルイスもクスクス笑っている。




「いやー。ここまで良く作ってあると思うよ。」


会長は笑いながらも感心している。




「拙者は無いよなあ。もう少し武士と町人や農民とか言葉が分かれてたら良いのにな。」


ルイスが最もな事を言う。


「これなんか大阪商人系だもんね。」


私は別の例文を読んで見せた。




買い物する時の例文


「これなんぼでっか?お兄ちゃんまけてーな。」




翻訳


「これはいくらですか?お兄さん値引きして下さい。」




ぶっっ!!今度は会長が吹いた。


「これは完全にアウトだろ!全くこれ作った奴は関西にも行ったのかな?」


笑えるがこれ使われたら困るよなあ。




「いやー。頭痛くなるね。知ってるからこそ困るって言うか。」


会長は大きな溜息を付いた。




取り敢えずもう一杯お茶でも飲もうかと会長がお代りを持ってきてくれた。




「てか、何県に行くの?東京?」


「あっ。首都って何て名前なんだ?」


肝心な事を知らない私達。




「琉球はあるから江戸なのかな?僕もそれは調べてない。」


会長もか。王子に聞かないとな。




「三線を欲しいなら琉球、能を見たいなら京都?」


結構離れている。


王子が行きたい所になるだろね。


「何処でも行けたら満足!」


とにかく楽しみ。




明日からは歌よりも言葉の勉強になりそうだな。


会長は調べ物をしに今日も図書館に行くらしい。本当に勤勉で頼りになる。


私達はプラゲ国の件を伝えにルイスの家に行く事にした。

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